重岡side ページ36
「神ちゃん!おはよ!」
乗り換えの駅で、いつものように神ちゃんと待ち合わせ。
神「おはよー、今日電車遅れてるみたいやで」
「え!ほんまに?」
改札をくぐりながら話す。
そういえば、ほとんど電車に乗ったことのなかった僕は、最初のうち”遅れ”というものにパニックだった。
神ちゃんと一緒に帰るようになって、神ちゃんに頼りきりだった僕も、
今ではちゃんと対応できる。
どの電車に乗ればレッスン場の最寄りの駅に着くか、頑張って覚えてんから。
神「やばいなー、人めっちゃ多い」
遅れて来た電車は満員。
それでもこれ以上遅らせる訳にもいかなくて押しつぶされそうになりながらも電車に乗り込む。
こういう人混みはもともと苦手。
しんどくなって、発作が起こりそうになるから。
そんな僕の背中に手を当てて、しっかり支えてくれる神ちゃん。
いつの間にか、これが当たり前になってた。
「大丈夫?」
そう聞かず、
ただ、当たり前のように、いつも僕を支えてくれた。
ー「次はー・・駅・・駅・・」
そんなアナウンスに、
「やっとや」
二人の声が重なって笑った。
駅を降りると人混みに流されるように出口に向かう。
この人の多さには未だに慣れへんけど、入所したてのころに比べれば難なく歩けるようになった。
レッスン場はここから歩いて20分くらい。
この道を、神ちゃんと何度歩いたんやろうね。
隣に神ちゃんがいないこともあった。
体調が悪かった時、神ちゃんがしんどかった時。
隣に神ちゃんがいない、レッスン場への道は、
ほんまに寂しかったんやで。
望「おっはよー!」
他愛のない話で盛り上がって、レッスン場に近づくと、テンションの高い小瀧と、
流「おはよー・・」
いつも通り眠そうな流星と遭遇。
そこからは4人で話しながら歩く、
これもいつものパターン。
レッスン場に着いても4人で話しながら靴をしまう。
淳「おはよう」
後ろから来たのは淳太君。
神「おはようー、電車遅れてたやろ?」
淳「せやねん、1本逃したらもう遅刻で押しつぶされそうな電車乗った」
「それ俺らも一緒」
淳太君と話しながらも、こうやってレッスン場入るんも、最後なんやなぁってぼんやり思う。
ー「おはよー!」
あいさつが飛び交う部屋。
レッスン場独特の匂い。
大切な、仲間の声。
今日も1日、
頑張ろう。
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作者名:みかん | 作成日時:2019年2月2日 23時