重岡side ページ30
デビューが決まった日、おとんとおかんは誰よりも喜んでくれた。
関西ジュニアのみんなやスタッフさん以外は祝福ムードではなかった中で、本当に心から喜んでくれた。
デビュー日も決まったし、まだ先やけど、いろんな番組で収録も待ってる。
色々な予定を忘れないようにスマホのカレンダーに入れながら、
色んなことを考えた。
これまでずっと、これからのことは考え続けてたけど、なかなか1歩が踏み出せなかった。
でも、デビューはいい機会なのかもしれへん。
ずっと考えていたことを、話そうと思った。
おとんと、おかんに。
「話したいことがあるねん」
リビングに行ってそう言うと、おとんとおかんは「どうしたん？」と向き合ってくれた。
「これまでずっとな、考えてきた。
僕ももう未成年ちゃうし、いつまでも世話焼いてもらうんあかんと思って。
一人暮らしできればええなって思ってんけど、でもそれは無理そうやし・・
やから、もしみんなが賛成してくれたら、メンバーと一緒に生活したいねん。」
一人になりたい、そんなんじゃなくて。
もう大人やし、ちゃんと親から離れても生活できるようにしたい。
いつまでも、おとんとおかんに甘えてばっかりじゃだめなんや。
メンバーと一緒に生活するようになれば、これまでしてくれてたこと全部、自分でするだけじゃなくて、メンバーのことだって気が付かなきゃいけなくなるのは分かってた。
でも、もっと強くなりたい。
僕のいったことに、おかんは口をぽかんとあけて動かなかった。
父「お父さんは反対はせえへん」
しばらく考え込んでたおとんの言葉に顔を上げると、
「でも」と僕を見た。
父「メンバーのみんなが、ちゃんと同意したらの話やで？
大毅をちゃんと支えられるような人じゃないとあかんし、
大毅はみんなに迷惑かけんようにせなあかん。
楽なことじゃないんやで？
メンバーのみんなも、
大毅も。」
そう言われて頷くと、おとんはにこっと笑った。
父「じゃあ、みんなと話し合ってみたらええ。
大毅の言うことなんやから、えらい考えた結果やろ？」
頭わしゃわしゃ撫でられて頷くと、「そうやろうな」って笑ってた。
ふと、何も言わないおかんと目が合うと、おかんは笑ってくれた。
母「ほんまにデビューおめでとう、お母さん応援してるから。」
涙を必死に隠して、優しく頭を撫でてくれるおかんに、「頑張る」、そう呟いた。
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作者名：みかん | 作成日時：2019年2月2日 23時
