桐山side ページ2
重「あ〜きとあきとっ♪」
雑誌の取材前、控室で呼ばれるのを待ってる間、しげがずーっと後ろから抱き着いたまま離れない。
ぴったりとくっついたしげの体温は、やっぱり人より熱い気がする。
「なぁ、淳太君おらんからって俺に引っ付かんでもええんとちゃう?」
そう言うと、
重「今日は照史君にくっつきたい気分やねん」
って笑った。
いつも真っ先にしげが引っ付いていく淳太君は、今日は同じ仕事じゃないため不在。
別に嫌ではないし、僕もされるがままやけど、つっこんでくれる淳太君がいないと俺、いつまでもこのままやん(笑)
仕方がないからそのまま取材のためのアンケートを書き始めると、しげは静かになった。
静かになった部屋に、ペンの音だけが響く。
重「なぁ・・・」
ふいに、しげが僕の手を止めた。
「・・どうしたん?」
びっくりしてしげの方を見ると、しげは僕の背中に顔を押し当てて顔を隠した。
重「・・・だいじょうぶって・・言ってやぁ・・」
こもった声は、とてつもなく不安げだった。
ー「なんで?」
なんて絶対に聞けない。
「大丈夫やで、しげ」
しげのてをぎゅっと握ってそう言うと、しげは僕の背中に顔を当てたままこくこくと頷いた。
理由は分からへん。
こんなしげ、見たこともない。
でも、何回でも、「大丈夫や」って言ってあげたかった。
強く握ったしげの手は、微かに震えてた。
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作者名:みかん | 作成日時:2019年2月2日 23時