重岡side ページ38
舞台が終わっていったん休憩。
緊張しすぎて、もう何が何だか覚えていない。
息を切らしながら舞台裏に戻ると、
「お疲れ〜」ってみんなに肩を叩かれた。
椅子に座って薬を飲んで一息。
自分がどんな演技したかとか、みんながどんな表情してたとか、正直全く思出せない。
ただ、必死だった。
手も、足も、震えてたな。
ただ、神ちゃんの演技がほんまに上手だったことは覚えてる。
初日が終われば、少しは自信がつくかと思ったけど、
その逆だった。
舞台が終わった後、演技指導の先生に言われた。
「今日のままの演技でこれからやるんやったら、重岡、お前主役やめろ」
自分でも、今日の演技は稽古の時よりも駄目だったのは分かってたけど、実際にそう言われると、ああ、やっぱり今日のはあかんかったんやなって悲しかった。
「ただいま・・」
家に帰ると、おとんとおかんが笑顔で迎えてくれた。
母「感動したわぁ！」
父「大毅、良かったで〜」
二人とも、まだ感動冷めやらぬ感じで、目を輝かせている。
「来てくれてありがとう・・でも、僕今日の演技はあかんかってん・・」
苦笑しながら言う。
父「ええ？そうなんか？良かったで？また次も楽しみにしてるからな！」
母「そうそう、今日1回ではストーリーについて行かれへんかったもんね。大ちゃん、また行くからね。」
また行くからね、
次も楽しみにしてる、
そんな言葉。
頑張ろう。
ここで落ち込んでる場合じゃない。
もっと、もっといい演技ができるように、頑張ろう。
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作者名：みかん | 作成日時：2019年1月30日 0時
