重岡side ページ27
無事稽古が終わって早く家に帰りたくて急いで電車に乗った。
駅から家まで駆け足！
早くおかんに舞台のこと言いたい。
まるで学校でええことがあった子供みたいやと、自分で自分がおかしくなる。
でも、こういう日に限って、
「あれ〜・・おかんおらへん」
家の鍵がかかってて、仕方なく自分で鍵を開けて家に入る。
リビングの机の上には置手紙があった。
ーおじいちゃんの調子が悪なったから病院に行ってくるね、すぐ帰ります。なんかあったらすぐ電話してね
じいちゃん、調子悪なったんか。
じいちゃんはここからちょっと離れた所に1人暮らししてる。
めっちゃ元気な人やから、心配やな。
じいちゃんの体調が悪いんじゃしょうがない、と思いつつも、
さっきまでのワクワクは消えていた。
「つまんない」
そう呟いた声は、静かな部屋に消えてった。
夕方になって、日が暮れてきたから洗濯物入れて、おとんのためにお風呂ためて、それでもおとんもおかんもまだ帰ってこなくて。
「遅いなぁ・・」
時計を見るともう7時を回っててお腹もなり始めてる。
そろそろ薬を飲まないといけない時間で、仕方なく作ってくれていたご飯をレンジで温めた。
「いただきます・・・」
今まで何年も、一人で夜ご飯を食べるなんてありえなくて、
寂しくてしょうがなかった。
そういえば、望も、両親が共働きで夜ご飯は大体1人やって言うてたな。
照史君も濱ちゃんも淳太君も、1人暮らしやから当たり前やけど家に帰ったら1人。
すごいな。
僕なんか、こんなことだけで寂しいのに。
でも、
僕のために作ってくれていた晩ごはんは、
あたたかくて、
優しい味がして、
当たり前は、当たり前じゃないんだって、気付かせてくれた。
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作者名：みかん | 作成日時：2019年1月30日 0時
