重岡side ページ23
あっという間に時間は過ぎて、もう帰る時間。
「そろそろ帰ろうか」っておとんが釣り道具片づけだして、僕も手伝う。
楽しかったから、片づけるこの瞬間はちょっぴり寂しい。
でも、朝からめまいがしていた僕の体は、限界近かった。
目の前が何度も歪んで、頭がズキズキと痛む。
おまけに吐き気もする。
でも、おとんにはばれないように、必死に笑って車まで来たとき、
ぐらっと視界が揺れて、地面に倒れこんでしまった。
父「大毅!」
手から地面に倒れたせいで、手のひらがじんじんと痛い。
でもそれ以上に頭が痛い。
1日中、何も考えないで動いた結果。
ほんま、俺ってアホやな。
おとんが倒れた僕を抱えて車に乗せて、薬を飲ませてくれた。
父「朝から、しんどかったんちゃうか?」
僕の額の汗をぬぐいながらおとんにそう聞かれた。
小さく頷いた。
父「あかんやんか、大毅・・・しんどいんやったらしんどいってちゃんと言いなさい」
おとんに叱られて涙がにじんだ。
「やって・・・おとんと出かけるん・・・久しぶりやったから・・・」
どうしても行きたかってん
そんな言葉は涙で声にならなかった。
父「大毅、その気持ちは分かるで?でもな、こんななってしまったらしんどいんは大毅やろ」
そう言いながら背中をさすってくれた。
おとんの言ってることが正しくて、
でも受け入れられなくて、
おとんに背を向けた。
おとんはちゃんと分かってくれてるって、
知ってるけど、
「おとんは何も分かってへん」
って言ってしまう。
ごめんなさい
なんて、
素直に言えなかった。
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作者名:みかん | 作成日時:2019年1月30日 0時