複雑な女心 ページ8
ちゃぷん...
先に湯船に入ったカナヲの背中をちらりと見る。
妙に緊張しながら、Aはざばっと頭から湯を被る。動揺している自分がいるのはよくわかっていた。
でも見当違いかもしれない。どちらにせよ今が彼女の本心を聞く絶好の機会ではあるが...
(もし、カナヲちゃんが炭治郎に懸想を抱いていたとして...私はどうするの?)
彼女の想い人を奪い取ってしまった形になる。せっかく少しずつ心の声が聞けるようになってきた彼女が..もしまた塞ぎ込んでしまったら、私の責任だ。
かと言って炭治郎を譲るのも...嫌。
彼を好きだと思う気持ちは私も一緒なんだ。
「....」
ー【まだ彼女に恋の自覚が無ければいいんじゃないか..このまま知らぬふりをしてそっとしておいた方が...全て丸くおさまるのなら】ー
「ってその考え方はさすがに最低じゃない!?!?」
「っ!?!」
いきなり風呂中に響き渡る声で叫んでしまい、Aはハッとして後ろを振り向く。びっくりした様子でAの方を見ているカナヲは心なしか泣きそうな風にも見えた。
何か失礼をしてしまったと思っているのだろうか、実際はAの自分自身に対する
「ご、ごめんね!カナヲちゃんは全然悪くないから。ちょっと自分に対して..ね。だから怖がらないで」
「..はい」
彼女に平謝りしながら、ゆっくりと湯船に体を沈める。せっかく距離を縮めようと思ったのに、これではまたふりだしだ。絶対に変な奴だと思われたに違いない。現に全くこちらと視線がかち合わない。
これでは気持ちを確認する以前の問題だ。
ーどうしよう...ー
自分で撒いた種とは言えAが一人途方に暮れていると、ガラリと再び風呂の扉が開いた。
「あら、やっぱりさっきの叫び声はカナヲじゃなかったわね。お久しぶりですAさん。脱衣所まで凄い響いてましたけど、大丈夫ですか?」
「っ、アオイちゃん!」
現れたのはいつものツインテールをストレートに下ろしたアオイ。彼女の登場は正直有り難かった。
アオイはカナヲと姉妹のように親しい関係だから、多少はカナヲもリラックス出来るかもしれない。
(そう、思っていたのだが...)
「あ、そう言えばAさんおめでとうございます。ようやく炭治郎さんと恋仲になったのですね。彼も報われて何よりです」
「ぇ...」
「っ!」
ー先に、言われてしまったぁぁ!ー
86人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
八千代(プロフ) - ゆるどあさん» 合間見て更新していきたいと思うので、今後とも宜しくお願いします(*´-`) (2022年1月19日 19時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆるどあさん» ゆるちゃん最新話まで読んでくれてありがとう!(*´◒`*)まさにゆるちゃんの言う通りもう少し炭治郎は硬派だろうなぁと思ってるんだけど、可哀想になっちゃって結局今に至ります笑 表現とか褒めてくれてありがとうね!なかなか私生活が忙しくなってきたけど、 (2022年1月19日 19時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるどあ(プロフ) - と頷きながら、積極的すぎないか炭治郎!?とかドキドキしながら読ませて貰いました💕相変わらず言葉遣いとかか心の表現の仕方が物凄く綺麗で、素敵で、浄化されるような不思議な感覚になるね笑プライベートとの両立は大変だと思うけど、更新頑張ってね!また来ます! (2022年1月19日 15時) (レス) id: db34c5bdbe (このIDを非表示/違反報告)
ゆるどあ(プロフ) - 八千代ちゃんお久しぶりです!やっっと最新話まで読み終わったよ!!私の予想では(炭治郎の性格的に)無惨様倒すまでは引っ付かないんだろうなぁと思ってたから、ちょっと驚きながらもそうだよな、小さい時から我慢してたんだもんなぁ、寧ろ今までよく頑張ったよ→ (2022年1月19日 15時) (レス) id: db34c5bdbe (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - かりんさん» コメントありがとうございます!(*´-`)いけない関係ってどきどきしますよね。更新頑張りますので、どうぞ今後とも宜しくお願いします! (2021年6月28日 10時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:八千代 | 作成日時:2021年6月10日 20時