弟の願いと兄の願い ページ42
ー玄弥sideー
ーきっと兄貴は俺に呆れ、恨んでるのだろうー
何も気付けなかった餓鬼の頃の俺を、思い切りぶん殴ってやりたい。
大変な暮らしを強いられるようになった母を支えようと、弟達を守ろうと、そう
【二人で誓い合ったにもかかわらず】
あの夜、俺は鬼と成り果てた母の亡骸を抱き、尊敬していた筈の兄貴を下から睨みあげていた。
「何でだよ!!何で母ちゃんを殺したんだよっ!!うわぁぁぁぁ!」
「っ...」
「この、人殺しっ!人殺しぃぃっ!!」
今となっては、あの時兄貴が鬼になった母から俺を守る為に、やむを得ず手にかけるしかない状況だったのが理解出来る。
兄貴はあの時誓い合った約束を守ろうと最善を尽くしてくれたというのに、俺はと言うと、ただただ母を殺された悲しみと怒りに打ちひしがれ、兄貴を罵倒し責め立てていた。
一番理解してやらなければいけなかった立場の俺が、兄貴を突き放したのだ。
なのに...
兄貴は反論するわけでもなければ怒るでもなく、そして黙って俺の前から姿を消した。
本当に俺は最低な野郎だ。
いつも俺は兄貴におんぶに抱っこで、一緒に頑張ろうって大口叩く癖に、結局脚を引っ張っている。
クソ重い荷物をずっと一人に背負わせ続けている。
刀を手に取った兄貴を見て、ようやく気付かされた。
【例え自分の手を汚しても、心身の傷が幾重にも刻まれたとしても、兄貴がしてくれて来た事は全部...全部俺たちを思っての事だったのだと】
「なぁ兄貴!!」
「...」
「俺、俺も鬼殺隊に入ったんだ!これからもっと力をつけて、強くなって、そしたら俺兄貴を「辞めろ」
...え?
「聞こえなかったのかァ?鬼殺隊を辞めろと言ったんだ。呼吸も使えないような奴が剣士を名乗るんじゃねェ。わかったらいますぐに失せろ」
..........
兄貴の役に立ちたい。
今まで背負わせている分を少しでも俺が肩代わりしたい。その一心で鬼殺隊に入る事を決意し、現に最終選抜を突破した。
舞い上がり過ぎていた部分もあったのかもしれない。
凄いな、さすがは俺の弟だと、言ってくれるものだとばかり思っていた。
予想外の言葉を投げかけられた時はショックだったが、冷静になって考えるとこう言われても仕方ない事だった。許して貰おうとは思ってない。
ただ....ちゃんと謝りたい。あわよくば、やっぱり俺は
【苦労をかけた兄の為になんとか力になりたい。例え捨て駒でも、それが俺の唯一の願いだ】
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八千代(プロフ) - ゆるどあさん» 合間見て更新していきたいと思うので、今後とも宜しくお願いします(*´-`) (2022年1月19日 19時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆるどあさん» ゆるちゃん最新話まで読んでくれてありがとう!(*´◒`*)まさにゆるちゃんの言う通りもう少し炭治郎は硬派だろうなぁと思ってるんだけど、可哀想になっちゃって結局今に至ります笑 表現とか褒めてくれてありがとうね!なかなか私生活が忙しくなってきたけど、 (2022年1月19日 19時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるどあ(プロフ) - と頷きながら、積極的すぎないか炭治郎!?とかドキドキしながら読ませて貰いました💕相変わらず言葉遣いとかか心の表現の仕方が物凄く綺麗で、素敵で、浄化されるような不思議な感覚になるね笑プライベートとの両立は大変だと思うけど、更新頑張ってね!また来ます! (2022年1月19日 15時) (レス) id: db34c5bdbe (このIDを非表示/違反報告)
ゆるどあ(プロフ) - 八千代ちゃんお久しぶりです!やっっと最新話まで読み終わったよ!!私の予想では(炭治郎の性格的に)無惨様倒すまでは引っ付かないんだろうなぁと思ってたから、ちょっと驚きながらもそうだよな、小さい時から我慢してたんだもんなぁ、寧ろ今までよく頑張ったよ→ (2022年1月19日 15時) (レス) id: db34c5bdbe (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - かりんさん» コメントありがとうございます!(*´-`)いけない関係ってどきどきしますよね。更新頑張りますので、どうぞ今後とも宜しくお願いします! (2021年6月28日 10時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2021年6月10日 20時