届いた切先 ページ35
二人揃って蛇柱邸での訓練が始まった。
伊黒の攻撃は息つく間もなく、すり抜けて来て炭治郎とAを襲う。
Aは元来体が柔らかいのと、呼吸の波長を読み取る能力に長けている為、身一つなら何とか彼の攻撃をかわしたり流す事は出来た。
しかし厄介この上ないのが、やはりこの生身の障害物で..
伊黒の鋭い攻撃がやってくる。それをかわそうと上体を反らした時、太刀筋が曲がり真後ろの隊員の顔面に伸びた。
「っきゃあ！」
木刀の振りが間に合わない事がわかっていたので、Aは半歩下がり自身の体を滑り込ませた。当然伊黒の木刀は彼女の背に当たり、あまりの激痛にAは苦悶の声を上げ膝をついた。
「うぅ..」
「Aさんっ！」
炭治郎は慌てて彼女に駆け寄り状態を確認する。
伊黒はビッと木刀を振り、我慢ならないとばかりにこう吐き捨てた。
「おい、甘やかすな。立て竈門A」
「...ッ」
Aは背中を曲げながらも何とかその場に立ち上がった。
「いいか。俺の訓練の本質は太刀筋の矯正。攻撃をかわすばかりが訓練じゃない。俺の攻撃をその時々によって正しく対処しなければ、また今のような事が起きるぞ」
「っはい、わかりました」
ーーーー
訓練が始まって数日が経過すると、二人は今までにない正確な太刀筋で打ち込めるようになって来た。
個々の僅かに残っていた癖が抜けた太刀筋は、無駄な動きが無くなった為、より鋭くなった。
加えて合わさった呼吸と体の動きが、一層シンクロするようになり伊黒をじわじわと追い詰めていく。
ビッ！
ついに炭治郎の木刀の切先が彼の羽織の裾を切ることに成功した。
「っやった！」
炭治郎は嬉しそうに笑みを溢し、Aもまたホッとしたように息をついた。
伊黒は無言のまま木刀を持っていた右手をおろす。
ー訓練を始めて..四日かー
正直、最初のあの状態からの成長速度は眼を見張るものがあった。木刀を持つ手さえ震えていた奴らが、己に課せられた課題を理解し力に変えた結果だ。
この二人は個々の身体能力にもの凄い才能があるわけではない。しかし、互いの特性を把握し極限まで能力を引き出す底力はある..か
「訓練は、終了だ」
「っ！」
「本当ですか！」
やったぁと二人がはしゃいでいると案の定調子に乗るなと罵倒された。
「じゃあな、さっさと消えろゴミカス。あとお前は甘露寺と馴れ馴れしく喋るな。」
伊黒は忌々しそうにそう吐き捨て、彼は炭治郎を指さしたのだった。
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八千代(プロフ) - ゆるどあさん» 合間見て更新していきたいと思うので、今後とも宜しくお願いします(*´-`) (2022年1月19日 19時) (
レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆるどあさん» ゆるちゃん最新話まで読んでくれてありがとう！(*´◒`*)まさにゆるちゃんの言う通りもう少し炭治郎は硬派だろうなぁと思ってるんだけど、可哀想になっちゃって結局今に至ります笑 表現とか褒めてくれてありがとうね！なかなか私生活が忙しくなってきたけど、 (2022年1月19日 19時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるどあ(プロフ) - と頷きながら、積極的すぎないか炭治郎！？とかドキドキしながら読ませて貰いました💕相変わらず言葉遣いとかか心の表現の仕方が物凄く綺麗で、素敵で、浄化されるような不思議な感覚になるね笑プライベートとの両立は大変だと思うけど、更新頑張ってね！また来ます！ (2022年1月19日 15時) (レス) id: db34c5bdbe (このIDを非表示/違反報告)
ゆるどあ(プロフ) - 八千代ちゃんお久しぶりです！やっっと最新話まで読み終わったよ！！私の予想では（炭治郎の性格的に）無惨様倒すまでは引っ付かないんだろうなぁと思ってたから、ちょっと驚きながらもそうだよな、小さい時から我慢してたんだもんなぁ、寧ろ今までよく頑張ったよ→ (2022年1月19日 15時) (レス) id: db34c5bdbe (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - かりんさん» コメントありがとうございます！(*´-`)いけない関係ってどきどきしますよね。更新頑張りますので、どうぞ今後とも宜しくお願いします！ (2021年6月28日 10時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：八千代 | 作成日時：2021年6月10日 20時
