星詠みの巫女は太陽と共に【炭治郎夢】ーpart9ー

柱稽古の意味 ページ34

いざ訓練を始めると、これが相当厄介なものであることに気付いた。
四方八方に括られている隊員達の隙間は、時にほんの一尺程度しかない箇所もあり、加えて生身の人間が障害物となると一発当たるだけでも大惨事。
炭治郎は思うように太刀が振れず、手がブルブルと小刻みに震えた。
そして、ただ単調な線で打ち込まれる攻撃を避けるだけというわけでも、ない。


「ぐはァッ！！」


容赦なく叩き込まれた打撃がもろ顔面に当たり、炭治郎は痛みでその場にうずくまる。


「鈍(のろ)い...」


伊黒はボソリとそう呟く。そして炭治郎に一発入れたのが相当気晴らしになったのか、少し機嫌が上向いたように見えた。炭治郎は悔しげに眉を寄せて、よろよろと立ち上がる。


ー(伊黒さんの攻撃..異様に曲がってくる)ー



使っているのは同じ木刀にもかかわらず、まるで蛇のようにぬるりと隙間を縫って攻撃が来る。これを避ける為には相当な洞察力と慣れが必要になってくるだろう。
恐らくこの太刀筋の特徴こそ、彼が蛇柱たる所以なんだ。


「ごめんください！！」

「「！」」


声がした方に眼を向けると、この状況を見て若干引き気味に口元を引き攣らせたAさんが立っていた。
無理もない。そう同情しながら密かに炭治郎が心中でうんうんと首を振ってると、伊黒はゆらりと彼女の方へ歩いていった。


「竈門Aだな。」

「はい！宜しくお願いします伊黒様！」

「先に言っておくが、俺は相手が女でも巫一族でも容赦はしない。上の命令であそこのゴミカスと一緒に見るように言われてはいるが、稽古に着いて来れなければ、問答無用であいつらと同じように縛るからそのつもりで挑め」

「っ！..はい！！」



ー？！ー


炭治郎はバッと顔をあげる。
いくらなんでも処罰内容が厳しすぎやしないかと思うが、グッと堪える。
柱稽古は、師となるその柱のやり方に基本的には従うべきであると、最初に宇随さんに言われた。


(俺が言うのもなんだが、まぁ柱は癖のある奴ばかりが揃い踏みだからなぁ。一見理不尽に見えるような事はあるかもしれない。だが、全く意味のない事も絶対にしない。この先柱稽古に入るなら、それだけは理解しておけよ)



わかってます..宇随さん
意味の有る無しは、自分達の行いで決めるッ！



「フン..」


二人の眼差しが気に食わないのか、伊黒は顔を顰めながら木刀を構える。炭治郎とAもまた同じく木刀を真っ直ぐに構えた。

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