然るべき時が来たら ページ2
「ッ...」
「なーんて、もちろん禰豆子達にちゃんと報告して認めてくれたならの話だし、それも数年先の話になるけどね。炭治郎は今16歳だっけ?あと3、4年くらいはせめて...って、え?!な、泣いてるの?!どうして...!もしかして早とちり過ぎたかな?それか、あー..女の私がこんな事言うのはしたなかったかしら」
Aがびっくり仰天したのも当然だった。ふと彼の方を見ると、先程のAとすっかり逆転してしまい、両目からはぼろぼろと大粒の雫が溢れていたから。急いで懐からハンケチを取り出し炭治郎の目元を押さえると、彼はその腕をきゅっと包み込むように握り締めた。
「っぅ...うぅ...ッ」
「...炭治郎」
「違う、ごめんなさっ...ッ俺、嬉しくて..当たり前のようにっ..俺と一緒になるつもりだって言ってくれたの。Aさんは、そんな気まだ全然無いんじゃないかと思ってたから」
珍しく泣きじゃくり続ける彼を見て、Aはふっと笑みを溢した。
「...そっか。だってね、将来の事を考えたら炭治郎じゃない人の隣にいる想像がつかなかったの。しょうがないよね...大好きなんだもの」
大好きと伝えるのは、やっぱりなかなか慣れない。顔を真っ赤にしながらも懸命に本音を彼に伝えると、耐
えきれないとばかりにぐっと押し倒してきた。
見上げればほんの一寸先に、切なげに顔を歪めている炭治郎の顔が見える。彼の情熱的な赫い眼を見つめていると、心の臓が搾り取られるような感覚が伝染してくるようだった。
愛しさが振り切れて爆発してしまいそう...
手を伸ばしたくて堪らないけれど、筋一つでも動かせば、止まらなくなりそうで怖い。
目の前の彼も今、こんな気持ちを味わっているのだろうか?
「..俺も同じです。どうしようもなく貴女が大好き。こんなにも焦がれた想いに押し潰されそうになった事もないッ。Aさん!俺ッ...!」
ーあぁ..もう言ってしまいたいなぁ。
【俺と結婚してください】って、喉まで出かかってしまってる言葉をー
心は彼女と同じ。今すぐにでも祝言をあげて永遠を誓う口付けを交わしたい。でも、俺からは然るべき時に伝えるって決めてるから。ちゃんと結婚出来る年齢になって、綺麗な簪を贈って、それで...
先に彼女に言わせてしまったのは男として情けない限りだが、Aさんはきっと、待ってくれる。
「..貴女を貰い受ける資格を持てたら、改めて俺から伝えます」
ーそれに、まだまだ面と向かって言えていない夢があるんだ..ー
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八千代(プロフ) - ゆるどあさん» 合間見て更新していきたいと思うので、今後とも宜しくお願いします(*´-`) (2022年1月19日 19時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆるどあさん» ゆるちゃん最新話まで読んでくれてありがとう!(*´◒`*)まさにゆるちゃんの言う通りもう少し炭治郎は硬派だろうなぁと思ってるんだけど、可哀想になっちゃって結局今に至ります笑 表現とか褒めてくれてありがとうね!なかなか私生活が忙しくなってきたけど、 (2022年1月19日 19時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるどあ(プロフ) - と頷きながら、積極的すぎないか炭治郎!?とかドキドキしながら読ませて貰いました💕相変わらず言葉遣いとかか心の表現の仕方が物凄く綺麗で、素敵で、浄化されるような不思議な感覚になるね笑プライベートとの両立は大変だと思うけど、更新頑張ってね!また来ます! (2022年1月19日 15時) (レス) id: db34c5bdbe (このIDを非表示/違反報告)
ゆるどあ(プロフ) - 八千代ちゃんお久しぶりです!やっっと最新話まで読み終わったよ!!私の予想では(炭治郎の性格的に)無惨様倒すまでは引っ付かないんだろうなぁと思ってたから、ちょっと驚きながらもそうだよな、小さい時から我慢してたんだもんなぁ、寧ろ今までよく頑張ったよ→ (2022年1月19日 15時) (レス) id: db34c5bdbe (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - かりんさん» コメントありがとうございます!(*´-`)いけない関係ってどきどきしますよね。更新頑張りますので、どうぞ今後とも宜しくお願いします! (2021年6月28日 10時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2021年6月10日 20時