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仮初め ページ10

大丈夫..

最初から酌を進めて、もし迫られでもしたら気絶させる。泥酔し眠り込んでしまったという風を装えば不自然ではない。

ただこの方法がいつまでも続けられるかというとそうじゃない。私が相手をする男の人が皆、朝には泥酔していると周りに知れれば、何か盛っているのではないかと疑いをかけられかえって目立ってしまう。
やはり、そろそろ潮時だろう。


潔く身を売れば、話は別だけれど



「炭治郎..どう?奥さんと鬼の情報、何か掴めた?こっちは、決定打がまだ..。近頃足抜けしている遊女、ここ最近入った人ばかりなんだって。多分、宇随さんの奥さん達だわ。鬼の仕業だろうけど、まるで特徴が掴めない。皆、自然死を装ってるから側から見たらただ偶然事件が重なっているようにしか見えないみたい。」


禿の少女達の留守を狙って、2人は小部屋で額を寄せ合い進捗を伝え合う。


「俺の方も、須磨さんが足抜けしたと偽装されている事はわかった。凄く巧妙なんだ。今回の鬼、かなり用心深いと思う。ただ、ごめん。潜伏場所はまだわからない。匂いは常に辿っているけど、何というかここ...鼻があまり効かなくて...」


炭治郎は最後、少し顔を赤くし尻すぼんだ言い方をした。その様子を見てAは、あー..と納得する。
そうか..炭治郎は鼻が効くから、【ある意味可哀想】だ。


「明日の昼に皆で情報交換するから、善逸君や伊之助も何か掴んでるかもしれない。」


そろそろ行かなければと伝え、腰を上げようとした時、炭治郎が確認の意味を込めてこう問いかけてきた。


「A姉さん、絶対に身売りはしないでください。絶対に...。明日、宇随さん達が何か掴めていれば、こんなところもう用済みなんだ。やっぱり、無理やりでも任務から外させればよかったって後悔してる。申し訳ない」


膝の上でぎゅっと拳を握りしめる炭治郎。
心配してくれているのだ..。最も彼の場合、別の独占欲から来るものかもしれないけど。
女将さんに指摘された件を炭治郎に伝えようかと思ったが、やめた。

彼に言ったところで不安がらせるだけだし、もしかしたら今夜の私の立ち回り方次第で、最後の砦になるかもしれない。


「ありがとう。身売りは絶対しないよ。私、そんなたまじゃないしね。」


あははとおどけて見せても、炭治郎はやっぱり辛そうな表情でAを見る。
廊下で女の子達の笑い声が聞こえると、彼女は炭治郎の頭をさっと撫でた。


「そんな顔しないで。せっかくの美人が台無しよ」

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八千代(プロフ) - 晶さん» コメントありがとうございます。なかなか時間が取れず更新不定期で申し訳ありませんが、頑張ります! (2020年3月25日 13時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 本当に面白いです。これからも更新楽しみにさせていただきます。 (2020年3月24日 21時) (レス) id: 181b777d16 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - コメントありがとうございます。そう言って頂けるととても励みになります。気ままに更新して行きますのでどうぞ宜しくお願いします。 (2020年3月17日 22時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
月華 - すごく面白いお話ですね。これからも楽しみにしております! 頑張ってください! (2020年3月16日 23時) (レス) id: 05cb836c1e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八千代 | 作成日時:2020年3月15日 8時

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