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本末転倒 ページ8

「炭治郎は禿(かむろ)の子達から須磨さんについてや、怪しい動きがないか探ってくれればいいよ。私は、見世に上がれれば客から情報を取るから。もう...そんな顔しなくても、その辺の男より私の方が強いんだから、心配しなくても大丈夫だからね」


A姉さんはああ言ったけれど...


「炭ちゃんそんなにお姉さんが気になるのー?」


炭治郎は少女にそう聞かれてびくりと肩を揺らした。

思った以上に彼女は見世に呼ばれる事が多く、A姉さんの指名が入るたびに炭治郎はずんと心が沈み切る思いだった。
でも..今俺は、【炭治郎】ではなく【炭子】であるし、立場上妙な動きをすればそれこそ怪しまれてしまう。


同じ屋敷に潜入すれば、もっと彼女の側で逐一群がる輩を監視出来るものと思っていたが、甘かった。
遊郭は、それこそ内側の人間ですら手の届かない領域というものが多数ある。
鬼にとっては、それらはかなり都合が良いのだろうが...



「うん、やっぱり姉さんが呼ばれるのはちょっと複雑かな」


あははとはぐらかすようにそう言えば、彼女達は
炭ちゃんお姉さんに嫉妬してるんだーとはやし立てた。
まぁ、ある意味間違ってはいないなぁとひっそりと心の中で呟く。




彼女に言われた通り、洗濯物や屋敷内を雑巾掛けしたりと雑用を積極的にこなしつつ、内側の動向を探っていた。
そして、須磨さんは【足抜け】として失踪している事実を突き止める事もできた。



ー恐らく...この街には鬼が巣食っているー



A姉さんも、客から得た情報の中に、近頃付近の屋敷から多数の足抜け遊女が頻発しているという噂は耳にするという。
そして、不可解な死を遂げる者が多いと。

どの人も、遊郭で名を馳せた位の高い花魁や、遊郭経営に関連する人物ばかり..何かカラクリがあると見ていい。



鬼の目的は、一体何なのだろう?



本来、潜入調査をするにあたり調べなければいけない部分はここなのだけど..



「それにしても炭ちゃんのお姉さん、Aちゃんは
凄いお人だねぇ!もう振袖新造(しんぞう)だなんて、お客さんもたくさん付き始めてるみたいだし、あっという間に位の高い遊女になってしまうんじゃないかな」



バキッ



突然発せられた鈍い音に禿の少女達はびくりと跳ねる。音の発生元は、炭治郎の手に持っていた竹筆で、
見るも無惨な状態で真っ二つに折れてしまっていた。

無情なる時の針→←ときと屋へ



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八千代(プロフ) - 晶さん» コメントありがとうございます。なかなか時間が取れず更新不定期で申し訳ありませんが、頑張ります! (2020年3月25日 13時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 本当に面白いです。これからも更新楽しみにさせていただきます。 (2020年3月24日 21時) (レス) id: 181b777d16 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - コメントありがとうございます。そう言って頂けるととても励みになります。気ままに更新して行きますのでどうぞ宜しくお願いします。 (2020年3月17日 22時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
月華 - すごく面白いお話ですね。これからも楽しみにしております! 頑張ってください! (2020年3月16日 23時) (レス) id: 05cb836c1e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八千代 | 作成日時:2020年3月15日 8時

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