不毛な感情 ページ50
「こりゃ一体どういう事だ?..毒が消えた」
禰豆子の炎はたちまち鬼の毒を消し去った。
今までの禰豆子の血鬼術は、自らの血を爆ぜさせて発現させていたが、今回は体に手を触れたのみでその効果を発揮した。
ふふんと得意げにふんぞり返る禰豆子を見て、Aはある推測をする。
ー無惨の追跡を逃れた力ー
ー鬼の血鬼術を消滅させる力ー
ー燃え上がる紅い炎ー
Aが星詠みの巫女なら、
言うなれば彼女は【太陽の巫女】
そしてその力は、彼女自身が大切だと思う人達が、
傷付けられる度、守ろうとする度に強まっているように思う。
星は、自らを輝かす物と、太陽の光を受けて輝く物とあるという。
古くからヒノカミ神を信仰し、その身に宿してきた巫一族は前者とされてきたが、
Aは、炭治郎や禰豆子達と出会って、彼等から特に影響されていると感じていた。
出会うべくして出会ったような、
そんな気がしてならないのだ。
「俺は鬼の頚を探します。確認するまではまだ安心出来ない」
一つの油断も許さない真面目な性格の炭治郎は、力強い眼差しでそう告げた。
禰豆子がひょいと炭治郎を再度担ぎ上げた時、Aは待ってと彼等を呼び止める。
「私も連れて行って欲しいの。私も確かめたい。それと...もしまだあの鬼が生きてたら、伝えなきゃいけない事がある」
「...禰豆子、お願い出来るか?」
炭治郎がそう問いかけると、禰豆子はこっくりと頷いて彼女の体を引っ張り上げた。
炭治郎の鼻で鬼の匂いを嗅ぎ分けながら、禰豆子を誘導する。
そして、とかく匂いが濃くなった付近を指差すと禰豆子はすたこらと向かって行った。
そこには、頚だけの状態で向き合い罵り合っている兄妹鬼がいた。
見たところ、その頚も徐々に細胞が崩れてる為、今度こそはとどめを刺せたと思って良さそうだが..
「あんたみたいな醜い奴がアタシの兄妹なわけないわ!だって全然似てないもの!」
だんだんとエスカレートしていく言い争いに、炭治郎達は顔をしかめていった。
ー家族ではないー
そう面と向かって言われた妓夫太郎は、酷くショックを受けたような顔で、反論する。
「うるせぇ!お前みたいな奴を今まで庇ってきた事が心底悔やまれるぜ!お前さえいなけりゃ俺の人生はもっと違ってた!【お前さえいなけりゃ】あな!」
あぁ...この罵り合いも、
負の感情からは何も生まれない。
ー日寄さんは、彼にそれを伝えたかったのだと思うー
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八千代(プロフ) - 晶さん» コメントありがとうございます。なかなか時間が取れず更新不定期で申し訳ありませんが、頑張ります! (2020年3月25日 13時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
晶(プロフ) - 本当に面白いです。これからも更新楽しみにさせていただきます。 (2020年3月24日 21時) (レス) id: 181b777d16 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - コメントありがとうございます。そう言って頂けるととても励みになります。気ままに更新して行きますのでどうぞ宜しくお願いします。 (2020年3月17日 22時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
月華 - すごく面白いお話ですね。これからも楽しみにしております! 頑張ってください! (2020年3月16日 23時) (レス) id: 05cb836c1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年3月15日 8時