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希少な力 ページ49

「たんじろぉぉぉ〜Aさぁぁ〜ん」


向こうの瓦礫から弱々しい善逸の声が絶え間なく聞こえてくる。
ただ炭治郎もAも自分の脚では満足に歩けない状態であった為、禰豆子が2人をひょいと背負い彼の元へ走ってくれた。


いつもの善逸の調子だ。
本当に戦闘時の記憶が飛んでいるらしく、目覚めた後の自分の状況が受け入れられない様子だった。
しかし、そんな事よりも伊之助が危ないのだと彼は必死に訴える。



指し示す方向へ急いで向かうと、だらりと手足が垂れており炭治郎が心音を確認してもほとんど音が響いてこなかった。


「伊之助!しっかりしろ伊之助!」



するとA姉さんが彼の側で屈んで猪頭を外す。
いつもの覇気は何処へやら、整った顔立ちは既に土気(つちけ)色に変わっており、一刻を争うのは明らかだった。


彼女が行おうとしている【行為】が何なのかはわかる。

でも、しないと伊之助はこのまま放って置いたら死んでしまうだろう。
今からしのぶさんに烏を飛ばしても、夜明けを待ってもまず間に合わない。



ー堪えなきゃいけないー



炭治郎に止められる権利はない。
可能性があるとしたら、彼女の呼吸が頼みの(つな)だ...
伊之助は大切な仲間だ。こんなところで、俺だってみすみす彼を死なせたくなどない。


A姉さんが伊之助の口元に顔を近づけていく。
彼女の髪の毛がさらりと耳から落ちた。
その瞬間、炭治郎はどうにも耐えきれずその光景から顔を背け、目をぎゅっとつむった。








禰豆子はそんな兄を見上げ、何かを察したようにグイーっとAの身体を押しやる。
驚きに目を瞬かせる彼女に構わず、禰豆子が手を伊之助に当てると先程と同様にぼぅっと炎が立ち昇った。

そして、みるみるうちに毒による皮膚のただれが軽快していき、伊之助は意識を取り戻したのだ。


「腹減った!!何か食わせろ!!」


瀕死とは思えないいつもの彼の調子に戻り、2人は喜びに手を取り合って伊之助に抱き付いた。
照れ隠しなのか、彼はやめろと声を上げながらA達を押し戻そうとしていたが、とにかく喜びが勝った。


「嫌ぁぁぁぁ死なないで天元様ぁぁぁ!!」


その時、遠くで須磨が泣き叫んだ。
こちらも事態は深刻で、鬼の毒は強靭な肉体をもつ宇随をも刻一刻と蝕んでいた。
そこにひょっこりと現れた禰豆子が、同様に血鬼術を放ち毒を中和させる。


ーAの巫の力と類似した禰豆子の血鬼術ー


その効果は、とても希少な現象であった

不毛な感情→←禰豆子の炎



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八千代(プロフ) - 晶さん» コメントありがとうございます。なかなか時間が取れず更新不定期で申し訳ありませんが、頑張ります! (2020年3月25日 13時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 本当に面白いです。これからも更新楽しみにさせていただきます。 (2020年3月24日 21時) (レス) id: 181b777d16 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - コメントありがとうございます。そう言って頂けるととても励みになります。気ままに更新して行きますのでどうぞ宜しくお願いします。 (2020年3月17日 22時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
月華 - すごく面白いお話ですね。これからも楽しみにしております! 頑張ってください! (2020年3月16日 23時) (レス) id: 05cb836c1e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八千代 | 作成日時:2020年3月15日 8時

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