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星の呼吸 壱ノ型 ページ32

「妬ましいなぁお前..いい男じゃねぇかよ。人間庇ってなぁぁ、格好つけてなぁぁ、いいなぁ」


ボリボリと首を掻きむしりながら、(そね)みの眼差しを向ける妓夫太郎。
これは憶測だが..この鬼はさぞや人間時の頃に酷い仕打ちを受けたものと思われる。
いわゆる【成功者】への嫉妬心が半端ではなかった。

しかし、宇随は堂々とした構えでこう返す。


「まぁな。俺は派手で華やかな色男だし当然だろ。女房も3人いるからな」


しばしの沈黙の後、妓夫太郎は血走った眼で殺気を放った。


「お前女房3人もいるのかよぉ、ふざけるなよなぁぁ!!」


血で出来た斬撃が襲いかかってきた。
人を庇いながら全て(さば)くのは難しく、宇随は懐から火薬玉を取り出して対抗する。

僅かな摩擦で爆ぜた火薬は、大きな爆音を発し(もろ)い長屋の床を吹き飛ばした。
人間を囲い階下に降り立った宇随は、間一髪敵の血鎌を避ける。


「逃がさなぇからなぁ」


クイッと妓夫太郎が指を操ると、放たれた斬撃が角度を変え宇随に向かっていく。


ー斬撃自体を操れるのかー


避けられないなら、斬るしかない。
宇随が日輪刀を構えた時、視界が白く染まった。


「宇随様、火薬を上へ放って下さい!」


「っ!お前」


突然現れたAの姿に驚いたが、彼はすぐさま火薬を数発階上へ投げ込んだ。
それと、彼女が呼吸を放ったのはほぼ同時であった。


ー星の呼吸 壱ノ型
森羅万象(しんらばんしょう)


彼女の刀の刃が宇随の火薬玉を撫ぜた瞬間、爆発によって弾け飛ぶ。
しかし、単なる爆発の威力にとどまらなかった。


ーこれこそ、巫一族の星の呼吸剣士が、鬼殺隊の切り札たる所以(ゆえん)ーである




「おい..なんだこりゃあ」


妓夫太郎はバタバタと垂れる血を手で拭う。
その血は体中の至る場所から垂れており、主に内臓がやられた。音がまったく聞こえず恐らく鼓膜が破れているのだろう。

あまりにも強い衝撃波に骨も砕け、鎌は後ろの壁にがっつり突き刺さっている。
先程の威力を見た限り、あの火薬玉にこれほどの威力が備わっているとは思えなかった。



ー下に新手の鬼狩りがいるー


単体の攻撃ではない、これは【相乗攻撃】
恐らく、あの火薬玉の爆音を利用して超音波と莫大な衝撃波を生み出した。
袖無し野郎と組まれると、厄介この上ない能力だ。


どんな野郎だ?皆殺しにしてやる
妓夫太郎はまだ見ぬ敵に怒りを(あら)わにした。

面影→←上弦の陸の正体



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八千代(プロフ) - 晶さん» コメントありがとうございます。なかなか時間が取れず更新不定期で申し訳ありませんが、頑張ります! (2020年3月25日 13時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 本当に面白いです。これからも更新楽しみにさせていただきます。 (2020年3月24日 21時) (レス) id: 181b777d16 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - コメントありがとうございます。そう言って頂けるととても励みになります。気ままに更新して行きますのでどうぞ宜しくお願いします。 (2020年3月17日 22時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
月華 - すごく面白いお話ですね。これからも楽しみにしております! 頑張ってください! (2020年3月16日 23時) (レス) id: 05cb836c1e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八千代 | 作成日時:2020年3月15日 8時

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