子守唄 ページ27
禰豆子の体を取り巻いていた枝葉模様が薄くなった。
まだグルルルと唸ってはいるものの、動きは炭治郎が制御出来るほどまで鈍っている。
A姉さんの血が..そうさせたのか?
鬼の禰豆子にとって、本来なら彼女の巫の血は悪影響のはずだったが、逆に互いに良い影響を与え合うものであると珠世さんは言っていた。
今回の、禰豆子の鬼化後退にもなんらかの効果があるのだろうか...
あぁ、それにしても..彼女の左腕は、見るに耐えない傷だ。ところによっては真皮の損傷も見受けられる。
止めようとした時、禰豆子が戻ってくるなら腕の一本や二本構わないと彼女は迷わず言った。
炭治郎はすぐ側にいる彼女の顔を見つめる。
那田蜘蛛山の時の、あの姿だ。
こんな時に何を考えてるんだろう俺は
彼女の、虹色のように輝く瞳が美しくて...
バキィィ!!
「っ!」
ガラガラと瓦礫が崩れた先からは、重度の火傷を負った帯鬼がこちらへと歩み寄ってくる。
焦げた匂い、禰豆子の返り血が爆ぜたものだ。
「よくもまぁやってくれたわね。物凄い癪に触るわ...ちょうどいい、3人まとめて居るうちに殺しておかないと」
まずい
すぐまた攻撃が来るぞ
どう構えるべきか考えていた時、いつの間にか現れた宇随さんがずいと額を寄せてきた。
「おい、これは竈門禰豆子じゃねーか。そっちの白いのはAか?...とにかく今の妹は戦闘にはいらねぇ。危険だ。抑えられてはいるみてぇだが、一度鬼化が進んだな。」
「あんた、柱ね?よかった、手間が省けたわ」
あぁん?と鬱陶しそうに宇随は墜姫を見やる。
「お前上弦の鬼じゃねぇだろ?弱すぎなんだよ。俺が探ってたのはお前じゃねぇ。」
それだけ言うと、彼は炭治郎達に禰豆子を眠らせ置いてこいと指示する。
墜姫は面倒臭そうにあしらわれた事に、びきりと青筋を立てたが、突如視界が斜めりそして気付く。
自分の頚が切られている事に
....
先程よりも随分大人しくなった禰豆子だったが、やはりこのまま放置しておけばまだ他の人間を襲いかねない。眠らせるしかないのだがその気配もない。
「...子守唄を歌ってあげよう。禰豆子が、昔大好きだった歌。」
A姉さんはそう言って禰豆子の背中を撫でながら穏やかな声色であやし始めた。炭治郎も一緒になって歌う。
すると、禰豆子は突然子供のようにしゃくり泣き始めた。
「大丈夫だよ。姉ちゃんと兄ちゃんが側に居るからね、安心してお眠り。禰豆子」
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八千代(プロフ) - 晶さん» コメントありがとうございます。なかなか時間が取れず更新不定期で申し訳ありませんが、頑張ります! (2020年3月25日 13時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
晶(プロフ) - 本当に面白いです。これからも更新楽しみにさせていただきます。 (2020年3月24日 21時) (レス) id: 181b777d16 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - コメントありがとうございます。そう言って頂けるととても励みになります。気ままに更新して行きますのでどうぞ宜しくお願いします。 (2020年3月17日 22時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
月華 - すごく面白いお話ですね。これからも楽しみにしております! 頑張ってください! (2020年3月16日 23時) (レス) id: 05cb836c1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年3月15日 8時