私達の最愛の妹 ページ25
「ね...禰豆...子?」
威嚇しているような荒い息、身体中にビキビキと浮き出る血管、瞳孔の開けた目。
Aが今まで見た事ない禰豆子だった。
怒りで、我を失っている...
禰豆子は、炭治郎に自分の命が危ない時以外は、絶対に箱から出るなと言われていた。しかし、無惨の血の匂いがより濃くなった時、耐え切れず外の様子を覗き見てしまったのだ。
そして、兄と姉が傷付けられた現状を目の当たりにし、【人間だった時の悲惨な記憶】が思い起こされる。
ー私の家族を、これ以上殺さないでー
傷だらけの腕をひしと伸ばす姉の記憶
血だらけでピクリとも動かぬ弟達の記憶
私の家族を傷付けたのは、誰だ?
ドンっ
一瞬にして地を蹴り墜姫に向かって飛んでいく禰豆子。凄まじい蹴りを叩き込むが、攻撃が単調である為すぐに帯で応戦されてしまう。
遠距離戦では断然墜姫の方が有利である為、間合いに入った禰豆子は次々と腕脚が切断されていき、ついに胴体までもが引き裂かれてしまった。
「禰豆子っ!!」
叫ぶAの声も虚しく響き、禰豆子はとてつもない速さで建物へ叩きつけられた。
墜姫がその体たらくをふんと鼻で笑う。
「弱いわね。大して人を食ってない。動かない方がいいわよ?胴体が泣き別れになってるでしょ?あんたみたいな半端者じゃ、それだけの傷すぐには再生出来ないだろうし」
鬼はコツコツと靴を鳴らして歩み寄っていく。
そこで違和感に気付いた。
「は?」
切断した筈の胴体と脚、腕が、くっついてる。
馬鹿な、この回復再生速度は、上弦に匹敵するものだ。
急激に変わった彼女の威圧感に、墜姫は目を見開く。
またも蹴りの体制で向かってくる禰豆子の脚を帯で斬り裂く。いくら再生速度が上がろうとも関係ない。
対処できる。次は頚を狙って...
「げぅっ‼!」
禰豆子は切られた筈の脚で墜姫の背中を貫通させる。
再生なんてレベルではない。切った側から、血液が接着剤のような役割を果たし四肢を結合している。
にたりと笑った禰豆子は、まるで快楽殺人鬼のように
繰り返し激しい音を立てながら滅多打ちにする。
返り血が爆ぜて、断末魔をあげる墜姫。
こんな、
妹はこんな風じゃない
このままじゃ、私達家族を殺した【鬼】と同じになっちゃう。やめて...
「お願いやめて禰豆子ぉぉっ!!」
Aが駆け出す。
ー....兄ちゃん
助けて、姉ちゃんが姉ちゃんじゃなくなるよー...
「っ!」
炭治郎もその瞬間ようやく目を醒した。
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八千代(プロフ) - 晶さん» コメントありがとうございます。なかなか時間が取れず更新不定期で申し訳ありませんが、頑張ります! (2020年3月25日 13時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
晶(プロフ) - 本当に面白いです。これからも更新楽しみにさせていただきます。 (2020年3月24日 21時) (レス) id: 181b777d16 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - コメントありがとうございます。そう言って頂けるととても励みになります。気ままに更新して行きますのでどうぞ宜しくお願いします。 (2020年3月17日 22時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
月華 - すごく面白いお話ですね。これからも楽しみにしております! 頑張ってください! (2020年3月16日 23時) (レス) id: 05cb836c1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年3月15日 8時