藤の花の家 ページ42
しばらく蝶屋敷に向かって歩いていると、行きより更に上気している炭治郎を見て、
Aはとうとう耐えきれず声を掛けることにした。
「炭治郎、禰豆子の籠私が持つから。貸してちょうだい」
案の定彼は拒否するが、有無を言わさずに奪い取った。
「大丈夫だよA姉さん、このくらっ...
コツン
Aは炭治郎の額に、己の額とを合わせて熱を測るような仕草をする。
必然と近くなる顔に炭治郎は動揺し、ただでさえ上気した頬を更に赤めたが、彼女は気にしない。
「大丈夫じゃないでしょう?凄い熱だよ。どこか手頃な所で休んだ方がいいわ」
あんまり歩かせない方がいいだろうと思う。そこでAは考えた。
背中に背負った禰豆子の籠はそのままに、炭治郎の背中と足に手を回そうとする。
「ちょ..A姉さん何を、わっ!」
展開についていけない炭治郎は、今の自分の格好を見て衝撃を受ける。
彼女はまさかの姫抱きで炭治郎の体を軽々と支えていた。
いい考えだというようにドヤ顔を作るAを見て、思わず顔全体を手の平で覆ってしまう。
いや...
さすがに色々と失いそうだし、心がずたぼろになりそうだ
だって、好きな人に姫抱きされるなんて
女の子がされる分には嬉しいのかもしれないけど
俺は男だし
どうしても嫌だ、無理だと言えば彼女は渋々おろしてくれた。籠だけは譲ってくれなかったけど、仕方ない。その気持ちは今の炭治郎にとっても嬉しい。
何とか蝶屋敷への距離を稼ごうと、姉さんに気遣われながら歩みを進める。
「炭治郎、あそこの家..藤の花の家紋だわ」
厳粛な佇まいで、見慣れた家紋が描かれたのれんが門前にかかっている屋敷が見えた。
「ごめんください!」
A姉さんが大声でそう呼びかけると、中からとことこ出て来たのは幼い男の子だった。
「鬼狩り様ですか?」
少年はきびきびとした丁寧な口調でそう尋ねたので、そうだと頷けば、どうぞ中へと案内された。
「あの、弟が熱を出しているので、少しだけでいいので休ませて頂けますか?」
思わずこちらも敬語でそう聞くと、少年は母を呼びつけた。奥からすぐ様出て来たのは若夫婦だった。
少年が訳を話すと、それは大変だと言って炭治郎達を屋敷の中へと招いてくれた。
「ご家族ですか?お部屋はご一緒が宜しいですか?それとも..
「別でお願いしますっ!」
炭治郎が間髪入れずにそうお願いすると、主人は
快く了承してくれた。
「少しと言わずいつまででも」
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シャドウ&ライト - 推しとの!むいくんとの絡みが多くていい!応援!してます!!(現実ではただの根暗な(他人には隠しているけどそこそこのオタクでもある)やつ) (2020年11月25日 19時) (レス) id: 7ef4dd2d75 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 星月_hosituki_さん» コメントありがとうございます!面白いと言って貰えて光栄です。あと、誤字指摘ありがとうございましたヽ(;▽;)ただいま修正中ですので宜しくお願いします (2020年4月26日 15時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
星月_hosituki_ - 面白いです!突然なのですが、無限列車編で血鬼術が鬼血術になっています。ぁ、一気読みしてきまぁーす!(読んでる途中でコメント書いた人) (2020年4月26日 15時) (レス) id: d71fa0da5d (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - くまくまちゃんさん» 炭治郎夢なんだけれども、無一郎と三角関係です(*´-`) どっちも可愛くて選べませんね (2020年4月15日 6時) (レス) id: 557e2177e8 (このIDを非表示/違反報告)
くまくまちゃん(プロフ) - うぅ~炭治郎も可愛い。う゛ぅ゛~ (2020年4月15日 0時) (レス) id: 5e524d6ee1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年2月23日 14時