寄り添う心 ページ33
禰豆子は珠世にそう言われると、恐る恐る彼女の手を探し求め、ぎゅうっと握り締める。
禰豆子の手の平が焼ける事もない。
鬼の血を拒絶する筈のA姉さんの体質は、禰豆子に影響を及ぼしていないという事なのだろうか..
炭治郎が疑問に思っていると、珠世はこう語り出す。
「Aさんの体は、鬼舞辻を始めとする一般的な鬼の血は拒絶します。でも、禰豆子さんだけは例外だった」
「例外?」
珠世はこくりと頷く。
「驚く事に、拒絶するどころか、相乗効果を発したのです。禰豆子さんの血鬼術はAさんの生命力を高め、Aさんの体は禰豆子さんの爆血の効果を上げた。これは...大変興味深い事でした。」
珠世は、禰豆子の血液成分を分離させた薬がなければ、もしかしたら彼女は助からなかったかも知れないと言った。
禰豆子のお陰だ..。皮肉にも、【禰豆子の鬼の血】で、A姉さんは救われたのだ。
こんな事が、あるのか。
久々に触れる事ができた姉の温もりに、禰豆子は心無しか顔が綻んでいた。
それだけで今は、
心の底から、良かったなぁと思えるのだ。
「Aの無事を確認出来た、僕は帰るよ」
時透はすくりと立ち上がると炭治郎の横を通り過ぎようとする。
炭治郎は咄嗟に彼を後ろから呼び止めた。
「君は何故そこまで、A姉さんを気に掛けるんだ」
そう問いかけると、ややあって彼はこう答える。
「ねぇ...炭治郎がそれ言うの?」
あまりにも、物悲しげにそう言うものだから、
一瞬思考が停止した。
そして、望まない確信に至ってしまう。
あぁ、やはり
【俺と同じ】なんだな、彼も
その日は、夜になってもA姉さんが目を醒ますことはなかった。
やはり、極限まで生気を抜かれた状態で
彼女は、意識を手放す直前に、乗客や皆の無事を確認した。
全員無事だから大丈夫だと言ったら、安心したような笑みを浮かべていたのだ。
なのに
彼女が目覚めた時、
煉獄さんの訃報をどのように伝えたらいいのだろう...
彼女は自分と似ている。
だからこそ
事実を、伝えることが辛い
「なぁ...そろそろ寝なきゃ駄目だ。炭治郎..禰豆子ちゃんも」
善逸が悲痛な眼差しで禰豆子の肩に手を置く。
しかし、禰豆子はあれからずっと彼女の側をついて離れない。
あれだけ激しい戦闘を行ったのだから、
酷い眠気や倦怠感に襲われていてもおかしくない筈。
それでも
彼女は眠らなかった
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シャドウ&ライト - 推しとの!むいくんとの絡みが多くていい!応援!してます!!(現実ではただの根暗な(他人には隠しているけどそこそこのオタクでもある)やつ) (2020年11月25日 19時) (レス) id: 7ef4dd2d75 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 星月_hosituki_さん» コメントありがとうございます!面白いと言って貰えて光栄です。あと、誤字指摘ありがとうございましたヽ(;▽;)ただいま修正中ですので宜しくお願いします (2020年4月26日 15時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
星月_hosituki_ - 面白いです!突然なのですが、無限列車編で血鬼術が鬼血術になっています。ぁ、一気読みしてきまぁーす!(読んでる途中でコメント書いた人) (2020年4月26日 15時) (レス) id: d71fa0da5d (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - くまくまちゃんさん» 炭治郎夢なんだけれども、無一郎と三角関係です(*´-`) どっちも可愛くて選べませんね (2020年4月15日 6時) (レス) id: 557e2177e8 (このIDを非表示/違反報告)
くまくまちゃん(プロフ) - うぅ~炭治郎も可愛い。う゛ぅ゛~ (2020年4月15日 0時) (レス) id: 5e524d6ee1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年2月23日 14時