彼岸 ページ30
カナヲは澄んだ青空を見上げていた。
ー炭治郎達...無事かしらー
身内以外の人間などどうでもいい筈だった。
自分には関係ないと、そう思っていたから。
でも、炭治郎から言われた言葉が、あの日からこだまする。
ー頑張れ!人は心が原動力だから、心は何処までも強くなれるー
心...
今まで自分の心など、気にした事もなかった。
彼は、心が強かった。自分にない長所が、なんだかとても羨ましくて、とても惹かれた。
こんなにも心が震えるのは、何でかしら...
そうぼんやりと思いながら、師範の横で空を見上げていた時だった。
遠くから一羽の白鴉が一目散にこちらへ近づいて来る。あれは..
あれは、竈門Aの
鴉はしのぶの元へ突っ込んできて、周りからキャアと悲鳴があがる。
鴉は非常に衰弱していた。自分が出せる最高速度で休みなく飛んできたのだろう。
ただごとでは無いと見て、しのぶが鴉に耳をそば立てると、彼女は大きく目を見開く。
「カナヲ!今すぐ私はAさん達の元へ向かいます!貴女は屋敷に戻ってアオイ達に伝えてください。緊急事態、医療設備を備え待機せよと」
師範はそれだけ言うとその場から去った。
詳しい事情も何もわからないけれど、
彼等に、何かあったのだと言うことだけはわかった。
動揺しつつも蝶屋敷へと駆ける。
実を言うと、カナヲはAが少し苦手だった。
雰囲気は柔らかいし優しい。けど、
彼女はあまりにも真っ直ぐな瞳を向ける。
それがどうしても駄目だった。
結局、彼女が羨ましかったのだ。
あんな風に全てを包み込めるような包容力が
きっとそんな所に、炭治郎も...
「伊之助君!」
しのぶと合流した伊之助は、息も絶え絶えにこう発した。
「しのぶ!頼むっ、Aを助けてくれ!わかるんだ、こいつっ..心音が弱くなってる」
彼の様子や怪我を見れば何があったのかおよそ察しがついた。
「状況は彼女の鴉から聞いて大体わかっていますよ。彼女をこちらへ」
しのぶが蝶屋敷へ彼女を連れ帰ると、既に状況を把握していたアオイ達が駆けつけた。
「しのぶ様!!」
「心肺補助を急いでください、危険な状態です!」
彼女達は治療室へAを運んでいく、その途中でしのぶは報告すべきか言いあぐねているアオイの様子に気付く。
「どうしました?アオイ」
「...それが」
「私が無理を言ってお願いをしたのです。」
しのぶが声のする方へ目を向けると、
珠世が憂いを帯びた表情で佇んでいた。
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シャドウ&ライト - 推しとの!むいくんとの絡みが多くていい!応援!してます!!(現実ではただの根暗な(他人には隠しているけどそこそこのオタクでもある)やつ) (2020年11月25日 19時) (レス) id: 7ef4dd2d75 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 星月_hosituki_さん» コメントありがとうございます!面白いと言って貰えて光栄です。あと、誤字指摘ありがとうございましたヽ(;▽;)ただいま修正中ですので宜しくお願いします (2020年4月26日 15時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
星月_hosituki_ - 面白いです!突然なのですが、無限列車編で血鬼術が鬼血術になっています。ぁ、一気読みしてきまぁーす!(読んでる途中でコメント書いた人) (2020年4月26日 15時) (レス) id: d71fa0da5d (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - くまくまちゃんさん» 炭治郎夢なんだけれども、無一郎と三角関係です(*´-`) どっちも可愛くて選べませんね (2020年4月15日 6時) (レス) id: 557e2177e8 (このIDを非表示/違反報告)
くまくまちゃん(プロフ) - うぅ~炭治郎も可愛い。う゛ぅ゛~ (2020年4月15日 0時) (レス) id: 5e524d6ee1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年2月23日 14時