夜明けの宙 ページ26
炭治郎が汽車を真っ二つに斬り裂くと、悍ましい断末魔をあげながらボコボコと膨れ上がり、猛スピードで駆け抜けていた汽車は大きく傾く。
立っていられない程の揺れにA達は放り出されそうになった。
生身の人間がもろに地面に叩きつけられればひとたまりもない。
弐ノ型なら..衝撃を和らげる事が出来るかも知れない
炭治郎は腹部を刺され重症。伊之助も大技を連発し疲弊していて、禰豆子達もひたすら持久戦を強いられていた。皆、頑張った..
私が最後、ここで皆を守らなければ、
どんなに肺が痛んでも、体が鉛のように重くても、
視界が霞んでも、気力で持ち堪えろ。
【私がやれる事】を全力でやり切る。
ー誰も死なせないからー
こんな状況でも炭治郎は必死に伊之助に乗客を守る様に叫んだ。日輪刀はどこかへ飛んで行ってしまったが、彼女の腕はしっかりと掴む。
A姉さんは俺が死んでも守る。
炭治郎はもうずっと前から、自分の心にそう誓っていた。
あの車掌には申し訳ないが、彼女の命を天秤にかけるならば..
「ー星の呼吸、弐ノ型、改...天球(てんきゅう)天羽衣...」
あぁ、やめてくれ
何で、あなたはいつも
懐から天の川のように煌く帯が2人を取り巻く。
凄まじい重力は消失し、炭治郎達を軸とするように帯は汽車全体を包み込むように伸びていった。
気付けば、汽車から数間離れた場所に2人は横たわっていた。
脱線の衝撃は、彼女のお陰でほぼ無い。
「A姉さん...なんて無茶を」
炭治郎は自分の腹の傷などそっちのけで、仰向けで横たわる彼女を労わる。
虚な眼差しで天を仰ぐA姉さんは、満ち足りた笑みを浮かべていた。
上下する胸が体の疲労を物語っているのに、なんでそんな表情をするのか
「炭治郎...手を...」
彼女は
俺はここにいると、そう伝えるように
彼女の手を優しく握り返した。
はぁ..と息をついて、彼の手を何度も、何度も頬に擦り寄せる。
「....乗客や皆は...無事?」
「おいきな子っ!お前..また」
伊之助が珍しく焦ったように彼等の元に駆け寄ってくる。
「大丈夫だ。姉さんのお陰で大した衝撃じゃなかった。皆生きてるよ。だからもう、休んで..」
それを聞くと、そっかぁと安堵したように目を細める。炭治郎は妙な胸騒ぎを、覚えた。
「暖かい...ようやく夜が明けたのね..」
彼女はそう呟いた。
しかし、辺りはまだ暗闇に包まれている
214人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シャドウ&ライト - 推しとの!むいくんとの絡みが多くていい!応援!してます!!(現実ではただの根暗な(他人には隠しているけどそこそこのオタクでもある)やつ) (2020年11月25日 19時) (レス) id: 7ef4dd2d75 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 星月_hosituki_さん» コメントありがとうございます!面白いと言って貰えて光栄です。あと、誤字指摘ありがとうございましたヽ(;▽;)ただいま修正中ですので宜しくお願いします (2020年4月26日 15時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
星月_hosituki_ - 面白いです!突然なのですが、無限列車編で血鬼術が鬼血術になっています。ぁ、一気読みしてきまぁーす!(読んでる途中でコメント書いた人) (2020年4月26日 15時) (レス) id: d71fa0da5d (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - くまくまちゃんさん» 炭治郎夢なんだけれども、無一郎と三角関係です(*´-`) どっちも可愛くて選べませんね (2020年4月15日 6時) (レス) id: 557e2177e8 (このIDを非表示/違反報告)
くまくまちゃん(プロフ) - うぅ~炭治郎も可愛い。う゛ぅ゛~ (2020年4月15日 0時) (レス) id: 5e524d6ee1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:八千代 | 作成日時:2020年2月23日 14時