純粋なる拒絶 ページ1
Aは真剣な眼差しを向ける無一郎にたじろぐ。
「一応確認したいのですが、それはどういう意味ですか?」
すると彼はしばらく考えて、こう返した。
「多分...僕は君に、
炭治郎よりも僕を頼って欲しいし、見てほしい。そういう意味で言ってる」
何がきっかけだったのかはわからないけど、どうも彼を、【本気】にさせてしまったらしい。
しかし...これとそれとは別で、
ちゃんと今の状況に向き合わなければいけない義務がAにはある。
ここで、無一郎を拠り所にしてしまっては、
それはただの逃げ、彼自身にも失礼だ。
「時透様のお気持ちは嬉しいです。でも、ごめんなさい。私、ちゃんと今の自分の素直な気持ちを炭治郎に言います。」
そう言うと、無一郎は悲しそうに眉を下げる。
「...Aは真面目で、優し過ぎるよ。俺の事だって..利用してくれたっていいんだよ。それでもいいって思うんだ。Aならいいよ。」
しかしAはふるふると首を横に振った。
彼の誘いを受ける事は、即ち情を与えるだけ。
私はそんな、ずるい女にはなりたくない。
Aは丁寧に頭を下げた。
「心の内を吐き出させて貰えて、お陰で元気が出ました。ありがとうございます。ただ、時透様の気持ちには答えられません。
ごめんなさい。私、誰かを頼るとか気持ちを吐くとか、あんまり得意じゃないけど、これから...頑張ります。
あと、継子の件もお断りしますね。あなたから習う事はたくさんあると思うし、凄く魅力的な誘いでしたが、あんまり他の人に入れ込むと、弟が機嫌を悪くしてしまうので」
Aはへらりと笑いそう告げると、部屋を後にした。
その後ろ姿を無言で見送った無一郎は、
まるで別の人格が乗り移ったように、唇を噛んだ。
「...諦めるもんか」
一方、
未だに覇気のない炭治郎を見て、
いい加減にしろと喝を入れたのは意外にも伊之助だった。
思い切り頭をひっ叩く。あまりにも勢いがあり過ぎたので、いくら石頭の炭治郎とは言え、油断していた状態で
「うじうじしてんじゃねぇよ男だろっ!!きな子に聞きたい事や言いたい事があるなら直接会って話してくればいいだろが!」
ふんすと鼻息を荒くしてそう叫ぶ伊之助。
お陰で炭治郎も吹っ切れた。
そうだ、このまま彼女を傷付けて放っておく方が、男として情けない話じゃないか。
「すまない伊之助、善逸、ありがとう。」
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シャドウ&ライト - 推しとの!むいくんとの絡みが多くていい!応援!してます!!(現実ではただの根暗な(他人には隠しているけどそこそこのオタクでもある)やつ) (2020年11月25日 19時) (レス) id: 7ef4dd2d75 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 星月_hosituki_さん» コメントありがとうございます!面白いと言って貰えて光栄です。あと、誤字指摘ありがとうございましたヽ(;▽;)ただいま修正中ですので宜しくお願いします (2020年4月26日 15時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
星月_hosituki_ - 面白いです!突然なのですが、無限列車編で血鬼術が鬼血術になっています。ぁ、一気読みしてきまぁーす!(読んでる途中でコメント書いた人) (2020年4月26日 15時) (レス) id: d71fa0da5d (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - くまくまちゃんさん» 炭治郎夢なんだけれども、無一郎と三角関係です(*´-`) どっちも可愛くて選べませんね (2020年4月15日 6時) (レス) id: 557e2177e8 (このIDを非表示/違反報告)
くまくまちゃん(プロフ) - うぅ~炭治郎も可愛い。う゛ぅ゛~ (2020年4月15日 0時) (レス) id: 5e524d6ee1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年2月23日 14時