愛と復讐の紙一重 ページ10
Aにとって、鬼は憎き対象であった。
捨てられていた私を拾い育ててくれた父と母、
無邪気に慕ってくれる弟と妹達。
けれど、自分は余所者で、彼等は本当は、私が邪魔なのではと思った時期もあった。
ただそれは杞憂で、愛してくれた家族が、本当に大好きだったのだ。
そんな大切な家族を奪い、傷付けられ、今もなお
僅かな希望さえも奪い去ろうとする。
そんなにお前たちは偉いのかと、神にでもなったつもりかと、この怒りの感情だけは何があっても
風化させてはいけないと思いここまできた。
けれど...
全ての鬼が憎むべき対象ではないことを知り、
Aは狼狽えた。自分もまた、奪う側である事に気付いたのだ。
失われた命は戻らない
奪った罪は一生背負うことになる。
それはいつの時代も、全ての生命に平等に課せられている。
そう..私達人間にもだ。
人の弱き心につけ込み、我が物顔で幸せを奪い取る黒幕。鬼舞辻無惨だけは絶対に許せない。
けれど
引き込まれた側の人々はどうだろう?
彼等にも物語はあった。
操り糸の鬼の少女もまた、きっと遠い記憶の底では、本当は人々を殺めたくなどなかった筈だ
奪い奪われ、殺し殺され
私達の目指す先は、どこへ向かっていくのだろうか
「伊之助、お前は下山した方がいい」
炭治郎は伊之助にそう言うと、ふざけるなと怒り狂う。恐らく彼は負けず嫌いなのだ。身体のダメージや負担は二の次で、役立たず足手まといというレッテルが気に入らないのだ。炭治郎らがただ心配で言っているだけだとしても。
「伊之助君、この傷で先へ行くのは危険よ。炭治郎の言う通りだわ..この先十二鬼月とやり合うかもしれないのに」
「君付けはやめろ!ムズムズすんだよ気持悪りぃ」
伊之助と叱咤する炭治郎を手で制し、Aは再度刀を鞘から抜く。
「A姉さん?!」
いくらなんでもそれはと慌てて止めようとする彼に構わず、彼女は息を吸い上げた。
ー星の呼吸 漆ノ型 輪廻転生の理(りんねてんせいのことわり)ー...
彼女が伊之助に刀を斬りつけた部分から、眩い光が解き放たれた。
そして不思議な事に、深い傷が薄ら軽快したのだ。
「これは...」
「すげぇ!なんか体軽くなったぞ!とんでもねぇ技持ってんじゃねぇかよきな子!」
軽快に飛び跳ねる伊之助に、Aは一時凌ぎの応急処置だから無理はしないようにと伝えた。
しかし炭治郎は気付いていたのだ。
彼女の身体から血の匂いが滲み出ていることに
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八千代(プロフ) - Sun moonさん» ありがとうございます(*´-`)むいくんは天使 (2020年11月24日 20時) (レス) id: 23228d6fd7 (このIDを非表示/違反報告)
Sun moon - むいくんが可愛い(真顔) (2020年11月24日 17時) (レス) id: 73a4d7a977 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» 1話から見直してくださってるなんて...有難いです(;ω;)ありがとうございます!キャラの気持ちの変化だったり意識して書いてみてるので、何か違った発見がゆずポンさんの中であったらいいなぁと思います。 (2020年9月6日 15時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆずポン - 八千代さん» そうですか!今1話から読み直してます。何回見ても面白ですね! (2020年9月6日 15時) (レス) id: 6633b9c75f (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» コメントありがとうございます。すみません、炎炎ノ消防隊はアニメ1、2話見た程度で全然詳しく無くて(泣)日本神話の神様なので結構色んな作品に使われてるようですね! (2020年9月6日 14時) (レス) id: 557e2177e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年2月4日 13時