強き覚悟と意思 ページ38
「師範を知っているんですか?」
そうAが問いかけると、彼は愚問だと言いたげなように顔を歪めた。
「知っているも何も、僕は彼女の元継子だよ。知らないわけないだろ。あと、気安く師範なんて呼ばないでくれないかな?言っておくけど、君が彼女から目をかけられているって事実も本当は気に入らないんだ。
ぽっと出の君が、瑠璃千代様から星の呼吸を教わるなんて...」
彼はそこまで言うと、乱した呼吸を整えるように息を吐いた。
「話が逸れたね。君は、何故鬼殺隊に入ったの?
以前護衛を拒否して家族の元に戻ったけれど、結局このザマじゃないか。冨岡さん達が助けに向かわなかったら今頃その家族諸共死んでたんだよ。結果、お館様や瑠璃千代様を裏切る事になっていたんだ。そんな事なら、君なんて本部に隔離して一切外には出さず、僕ら柱の力添えだけを存在理由に生きていた方がよっぽどマシだと思うよ?」
時透にそう捲し立てられたAは、全てが彼の言う通り、図星過ぎて、すぐには返答する事が出来なかった。
確かにそうだ。
己の願望の元動いたはいいが、結局
守れないのでは意味がないし、助けられたのでは意味がない。
そんなものは結果、ただの足手纏いだ。
師範は、私の巫の力は特別な能力だと言った。
その力に甘えて、運良く生きながらえてきただけ。
しかし本当に必要な局面で発揮出来ないなんて事になってはならない。
でも..私は、守られているだけのお姫様になりたいわけでもなければ、
足手纏いの負け犬になりたいわけでもない。
大切な人達を守りたい。平和な世の中を作るため。
その為なら
「確かにこの結果、目も当てられませんよね。その自覚はあります。でも、私が鬼殺隊に入ったのは、大切な人達をこの手で守る為です。それは家族だけじゃない、幸せでなければいけない..この世の全ての生き物達の為です。過去も未来も、この負の連鎖を断ち切れるまで、私は諦めません。強くなる為にどんな事もやります。弱音だって吐かない。ですからどうか、私を今まで通り前線に置いてください。」
Aはまっすぐに時透を見つめる。
彼は正直なところ、彼女の心を折ってやるつもりでここに来た。敢えて言葉に圧迫感を加えた。
自分のせいで多くの人間を巻き込んでいる事。
世の中の存亡さえかかっているのだという事。
この二つを突きつけてやれば、呆気ないと思ってた。
けれど違った。
この子は...尚もこんなに強い眼差しを向けるというのか
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八千代(プロフ) - Sun moonさん» ありがとうございます(*´-`)むいくんは天使 (2020年11月24日 20時) (レス) id: 23228d6fd7 (このIDを非表示/違反報告)
Sun moon - むいくんが可愛い(真顔) (2020年11月24日 17時) (レス) id: 73a4d7a977 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» 1話から見直してくださってるなんて...有難いです(;ω;)ありがとうございます!キャラの気持ちの変化だったり意識して書いてみてるので、何か違った発見がゆずポンさんの中であったらいいなぁと思います。 (2020年9月6日 15時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆずポン - 八千代さん» そうですか!今1話から読み直してます。何回見ても面白ですね! (2020年9月6日 15時) (レス) id: 6633b9c75f (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» コメントありがとうございます。すみません、炎炎ノ消防隊はアニメ1、2話見た程度で全然詳しく無くて(泣)日本神話の神様なので結構色んな作品に使われてるようですね! (2020年9月6日 14時) (レス) id: 557e2177e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年2月4日 13時