太陽神を宿し巫女 ページ16
ー駄目よ..貴女は、私と同じにはならないでね
Aー
「っ!」
禰豆子!としきりに叫んで炭治郎は必死に彼女の身体を支える。もげそうなくらい深い傷を負った禰豆子は、しばらく自力で動けなそうだった。
塁は、2人のそんな様子を見て、兄妹か?これも欲しい、本物の絆だとぶつぶつと呟きながら、震えた手で指差した。
縋るようにひざまづく鬼の少女を投げ飛ばし、
塁は炭治郎に交渉を持ち掛けた。
【妹と姉を渡せば、お前は生かして帰してやると】
けれど、それを聞いた炭治郎は
「いいよ。殺して盗るから」
「俺が先にお前の頸を切る」
両者一歩も譲らぬ交渉は呆気なく破談した。
少年は今まで隠していた左眼を見せつける。
そこには、下伍と刻まれていた。やはり...
彼は十二鬼月だった。
あの情景と、同じだ。
累が糸を掲げようと腕を上げた瞬間、
Aが前に出て来て、刀を鞘におさめた状態で向き合う。
炭治郎は一瞬目を見開いたが、危険だから下がっていてくれと伝えるも、彼女はその声を無視し塁を見つめた。
「君のその髪色...綺麗だね。俺はもう少し灰色が入ってた方がいいと思うけど。君に用はないよ。今俺はその男と話をしてるんだから」
Aの髪色は、紺
Aの呼吸一つ一つが、その場の空気に振動し震えているかのようだった。
塁は腕を下ろして糸を引っ込める。
「俺と闘うつもりはないみたいだね。でもそこを退かないのは何故?」
Aは口を開いた。
「あなたは寂しいのでしょう。後悔しているのでしょう。奪う為に闘うのは不毛だから。どうかお願いです。自分に負けては駄目」
「...は?」
塁は素っ頓狂な声を出す。この状況でそんな言葉を言われるとは思ってないからだ。
途端に、塁は自らの頭を押さえた。頭をつんざくような痛みが走る。
「お前..何をしたんだ!」
塁は彼女が何かの異能を使ったのではと判断しAに向かって糸を放つが、彼女はその場を動かない。
炭治郎が叫ぶ声が聞こえる。禰豆子は大きく目を見開き動かぬ体を必死に持ち上げようとした。
だが、届かない。
しかし、塁の糸は
彼女の身体を細切れにする事なく
跡形も無く灼き切れ消滅したのだった
262人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
八千代(プロフ) - Sun moonさん» ありがとうございます(*´-`)むいくんは天使 (2020年11月24日 20時) (レス) id: 23228d6fd7 (このIDを非表示/違反報告)
Sun moon - むいくんが可愛い(真顔) (2020年11月24日 17時) (レス) id: 73a4d7a977 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» 1話から見直してくださってるなんて...有難いです(;ω;)ありがとうございます!キャラの気持ちの変化だったり意識して書いてみてるので、何か違った発見がゆずポンさんの中であったらいいなぁと思います。 (2020年9月6日 15時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆずポン - 八千代さん» そうですか!今1話から読み直してます。何回見ても面白ですね! (2020年9月6日 15時) (レス) id: 6633b9c75f (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» コメントありがとうございます。すみません、炎炎ノ消防隊はアニメ1、2話見た程度で全然詳しく無くて(泣)日本神話の神様なので結構色んな作品に使われてるようですね! (2020年9月6日 14時) (レス) id: 557e2177e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:八千代 | 作成日時:2020年2月4日 13時