柱稽古のとある苦難 ページ30
ー翌日ー
「きゃあーAちゃんいらっしゃいー!」
「ちょっと須磨!会って早々抱きつかないの!彼女困ってるでしょう?!」
ぎゃんぎゃん泣きながらAの腕に絡みつく須磨を制するまきを。お決まりのような展開にAはふふと笑いを溢した。
「よぅ!ようやく来たなA。待ってたぜ」
「宇随様、ご健在で何よりです。遅れをとってしまいましたが今日から宜しくお願いします」
「あぁ、ここに来たからには容赦はしねぇからな!覚悟しとけよ?」
「っはい!」
皆と対等な立場で鍛えてくれるということで、Aは目を輝かせ勢いの良い返事を返した。そこに炭治郎が我先にと駆け出してくる。
「A姉さん!!」
「炭治郎!元気にしてた?」
当たり前のようによしよしと彼の頭を撫でるAと、ふにゃりとした笑顔を浮かべる炭治郎。当人達にとってはいたって自然な触れ合いだったが、周りから見た時、仲のいい姉弟という枠に収めるにしては些か度が過ぎるようにも思えた。大体がこの二人の世界に入り込む余地はなかったが、一部の隊員には待ちに待ったAの登場に声をかけずにはいられない者もいた。
「あの、貴女が炭治郎のお姉さんの..」
「?はい。竈門Aと申します。今日からお世話になります」
彼女がにこりと微笑むと、何人かは頬を染めて見惚れていた。その様子が当然面白くない炭治郎は、あからさまにむすりとして彼女の腕をぐいっと引っ張る。
「A姉さん!準備運動がてら少し俺と走ろう。宇随さんの稽古はひたすら持久力の底上げだから、体ならなさないとキツいから」
「ぁ、うん!」
有無を言わさずAを連れて行く炭治郎の背中を見て、宇随は密かに苦笑いを浮かべていた。
ーーーーー
そしてひたすら走り抜き訓練。全集中常中を会得しているAは、他の男性隊員と比べても体力は抜きん出ている。炭治郎は虫除けさながらに彼女と並走していた。そんな時、前方を走る男性隊員が限界だと木の幹に手をついてぜぇぜぇ息を吐いているのを見たAは駆け寄って彼の背をさする。
「ッ!..Aさん.っ」
「大丈夫?もうすぐだから一緒に頑張りましょう」
彼からしたら天使のように見えただろう。Aの手を取り再び走り出した。その様子を見た炭治郎はギリっと唇を噛んだが、宇随にぽんと肩へ手を置かれる。
「公私混同するなよ。気持ちはわかるがAに他意
は無いだろう。それと、お前はもっとペース上げて走れ。」
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八千代(プロフ) - あいさん» リアルの日常とても辛い思いをされてるのですね..私の作品が少しでもあいさんの普段の楽しみになれたのならこんなに嬉しい事はありません。私こそ暖かいコメントに勇気とモチベを貰えました笑ありがとうございます! (2021年5月20日 22時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます(*´-`)何度も読み返してくださってるなんて光栄です!亀更新で本当申し訳ないのですが、私も思い入れのある作品なんで、頑張って書きます!ありがとうございます!冨岡さんの夢は初挑戦ですが星詠み終わったら検討いたしますね(*^^*) (2021年5月20日 22時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 続き→冨岡さん落ちの夢小説も読んでみたいです!あくまで個人的な希望なので無理せず、ご検討よろしくお願いします!私は精神障害で親からの当たりも酷くて毎日死ぬほど辛い状況ですが、このお話を読んで少し元気をもらいました。ありがとうございます! (2021年5月20日 20時) (レス) id: b63ea41164 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - こんばんは!このお話とっても面白いですね!既に5回くらい読み返してます!そのくらい好きなお話です!更新を楽しみにしています!これからも、頑張ってください!応援しています!個人的な希望なのですが、このお話が終わったらでもいいので、八千代さんが書いた、 (2021年5月20日 20時) (レス) id: b63ea41164 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 花霞さん» 良かったです(^^)ありがとうございます!これからも頑張ります! (2020年12月7日 18時) (レス) id: 23228d6fd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年8月30日 22時