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空白の時を経て ページ17

「うん、禰豆子に聞かれたんだ。お兄ちゃんの事好きなのかって。その時に、家族というよりも異性として好きなんだって事に気付かされて」


「そんな事を禰豆子が....え..待って!それっていつ?」


「上弦の肆を倒した朝だよ。禰豆子が鬼になって初めて喋った日。そう言えば、炭治郎は気を失っていたから分からなかったかも。カタコトだったけどね、確かにそう聞いてきたわ」



一連の流れを聞き終わると、彼はそうか..と呟く。どうやら一応納得はいったようだが、気がかりな点はまだ残ってる風だった。



「どうしたの?」


「あ、いや。禰豆子は...Aさんや俺の気持ちに、気付いてたのかなぁって、ふと思っただけだ。」


「...どうだろう。あの子も感がいいから、もしかしたら人間だった頃から気付いてたのかもしれない。私達以上に、ひょっとしたらね。ちなみに私は結構前から貴方の気持ちには気付いてたんだけど。」


「うっ..!やっぱりそうか」


「あははっ、炭治郎はわかりやすかったからね」



彼が向ける視線、触れ方、優しい声色、異常なまでの嫉妬と独占欲。
色恋には疎かったAでも、何となくそれが家族愛以上の特別な感情だということは分かっていた。

ただお互い、気付かないフリをしていただけなのだ。
あの頃のAは、申し訳ないと思いつつ、それまでの関係性が壊れてしまうくらいなら、背け続ける事もまた正であると思っていた。しかしいよいよ耐えかねたのは炭治郎の方。それからの猛アピールに根負けしたのもあるが、一番はやはり彼のイメージががらりとAの中で変わったのが要因だろう。幸か不幸か、突然の別れと空白の二年間が、彼らをそう変えたのだ。



「Aさん..」


「?」


「改めて、俺を好きになってくれてありがとう。これからもっと過酷な闘いが待ち受けていると思うけど、貴女が側に居てくれさえすれば、俺頑張れるから。その..俺も貴女の、そんな存在に...」



すっとAの指が炭治郎のこめかみを撫でる。
目の前の彼女は、普段見せる微笑ではなく、咲き誇る向日葵のような満開の笑顔を綻ばせていた。



「っ...」


「私も全く同じ気持ちだよ。禰豆子を人間に戻すのも、家族や仲間の仇を取るのも、脅威のない平和な世の中にするのも、大丈夫、私達ならきっと出来るよ。だから一緒に頑張ろうね?」


「っ!..うん」



炭治郎は感極まった表情を浮かべながら、彼女の体をひしと抱き締めた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , 原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
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八千代(プロフ) - あいさん» リアルの日常とても辛い思いをされてるのですね..私の作品が少しでもあいさんの普段の楽しみになれたのならこんなに嬉しい事はありません。私こそ暖かいコメントに勇気とモチベを貰えました笑ありがとうございます! (2021年5月20日 22時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます(*´-`)何度も読み返してくださってるなんて光栄です!亀更新で本当申し訳ないのですが、私も思い入れのある作品なんで、頑張って書きます!ありがとうございます!冨岡さんの夢は初挑戦ですが星詠み終わったら検討いたしますね(*^^*) (2021年5月20日 22時) (レス) id: cc4d50fa77 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 続き→冨岡さん落ちの夢小説も読んでみたいです!あくまで個人的な希望なので無理せず、ご検討よろしくお願いします!私は精神障害で親からの当たりも酷くて毎日死ぬほど辛い状況ですが、このお話を読んで少し元気をもらいました。ありがとうございます! (2021年5月20日 20時) (レス) id: b63ea41164 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - こんばんは!このお話とっても面白いですね!既に5回くらい読み返してます!そのくらい好きなお話です!更新を楽しみにしています!これからも、頑張ってください!応援しています!個人的な希望なのですが、このお話が終わったらでもいいので、八千代さんが書いた、 (2021年5月20日 20時) (レス) id: b63ea41164 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 花霞さん» 良かったです(^^)ありがとうございます!これからも頑張ります! (2020年12月7日 18時) (レス) id: 23228d6fd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八千代 | 作成日時:2020年8月30日 22時

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