欲しいモノ 〜弐〜 ページ8
「仮に、炭治郎がAさんの事を好いているとして、やっぱり炭治郎の事を家族以上に見る事は出来ないんですか?」
「...うん」
「それは、見ちゃいけないってAさん自身が決め付けている、とかじゃなくてですか」
え?と返すと、善逸は僅かに哀れんだような表情をして見せた。あぁーーと呻りながら髪の毛をかき乱した後、Aに向かってバッと頭を下げたものだから、同様のあまり一瞬言葉を失う。
「ちょっ善逸君、どうし」
「Aさんすみません。もしもそうなら、その考え改め直してくれませんか?俺からのお願いです。じゃないと炭治郎のやつ...」
善逸はぐっと口をつぐんで、とうとうそこから先の言葉を続ける事は無かった。
でも、大体彼が言いたいことはわかる。彼も恐らく、炭治郎の想いに気付いていて、大方どうにかしてやりたいと思っているのだろう。
「私ね、彼の気持ちには何となく気付いてるよ」
「え!そうだったんですか?だったら」
「だからなの」
それなら話が早いと更なる提案を口にしようとした善逸を制するようにAは言葉を被せる。
「....私は鬼狩りでいつ死ぬかもわからない身だし、それに、禰豆子を人間に戻して鬼舞辻を討つまでは色恋沙汰はしないつもり。そんな私に今、彼が望む事は何もしてあげられないと思うから。」
包み隠さずそう打ち明けると、善逸は黙ってAの言う事に耳を傾けていたが、やがてポツリとこう呟く。
「やっぱり..改めてください」
その瞳からは後世だからとでも言うような必死さを感じた。
「Aさんはもっと素直になっていいと思います。色恋沙汰、したっていいじゃないですか。いつ死ぬかもわからない身なら尚更ですよ。炭治郎を考えての事ならそんなのかえって逆効果だ。
人が人を想う気持ちは、そんな簡単に割り切れたり諦められるようなものじゃないです。俺としては、炭治郎の事を思うのなら、せめて隙くらいは与えてやって欲しいんです。」
すくりと立ち上がって善逸は再度Aに頭を下げる。さすがの彼女も面食らって彼を凝視した。
Aは決して人の思いに鈍感なわけではないが、彼女自身人に恋をした事がないので、こういう類にはいっとう疎かった。
今の善逸の言葉を、一つ一つ頭の中で噛み砕いていく。
「....わかった、善処します。けど」
「けど?」
「具体的にどうしたらいいのか。」
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ライ - 全然大丈夫です!むしろ八千代さんの書いた星詠みの設定凄く好きなのでその設定にして頂けるとこちらも嬉しいです♪ありがとうございます! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
ライ - ありがとうございます!!こちらこそよろしくお願いします!! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ライさん» ただ基本星詠みの番外編とさせていただいてるので、設定はそちらに寄せさせていただきますのでご了承ください。頑張って書きます! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ライさん» コメントありがとうございます(*´-`)その設定は私としても大好物です笑 是非リクエストに応えさせたいただきたいので宜しくお願いします。 (2020年9月18日 12時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
ライ - いつも更新楽しみにしています!勝手なのですが、炭治郎がヤンデレで夢主が他の男性と仲良くしているのを見て激しく嫉妬するお話を書いて頂けませんか…?良ければお願いします!! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年8月1日 19時