虹色の瞳に映して 〜弐〜 ページ40
「ねぇA姉さん」
「ん?」
「今この場で異能使ってってお願いしたら、怒るか?A姉さんのあの姿、思えばいつも戦闘中だったからまじまじと見た事ないんだ。見てみたい」
巫一族の真の姿。
白練色の髪の毛に、七色の星の光を放つ瞳。あれは本当に、美しかった。もう一度見たい。凄く見たい。
ダメ元でそうお願いすると、彼女は快く返事をしてくれた。
「いいよ。少しだけね?」
A姉さんはすっと眼を閉じると、全集中と似たような呼吸を意識し始めた。周囲の空気圧が僅かに変化する。
圧倒されたように、ただじっと彼女を見つめていると、やがて根元から徐々に髪の毛の色が抜けていき、彼女自身が発光源になったかのように淡く光のオーラを放っていた。
そして、ゆっくりと開かれたその瞳を見た時、炭治郎は息をするのを忘れる程に、食い入るような眼差しでその双眼を見つめた。
ーやっぱり、綺麗だな..ー
よく見るとそれは七色の深い光を放っていて、その瞳の奥へと、引き寄せられるような強いエネルギーを感じる。
それはどこか懐かしくもあり、泣きそうな感覚すらも覚える。
星の呼吸が、
彼女の瞳からはこの星の、この世界の、永く壮大な歴史の流れを感じる。
全ては...ここから始まっていったのだと思わせる。
【あぁ...触れたい】
無意識に彼女の髪の毛へと手を伸ばす。さらさらと指と指の間を滑るように抜けていく感触が、自分の髪質とは正反対で凄く魅力的だった。
一心不乱にその行為を続けている炭治郎に、Aはは黙って身を任せていた。時折くすぐったそうに目を細め、気持ちよさそうにしていて、そんな無抵抗な様子に気をよくした炭治郎は、ぐっと顔を近付ける。
さすがに驚いた様子で彼女は目を見開いた。
「っ炭治郎?...」
「...」
吸い込まれそうな瞳から一瞬たりとも目がそらせなかった。この距離からであれば、彼女の眼には俺の顔がはっきりと映りこんでいるのがわかる。
Aさんの中に俺が入り込んでいる。認識してくれている。そう思うだけで、ゾクゾクとした精神的快楽に震える。ドクドクと心臓が脈打ち、やがてある衝動に駆られた。
(彼女の眼球を舐めてみたい)
この美しい眼の視界を奪って、一瞬でもいい。全てを支配してみたい。そして、何を馬鹿な事を考えているのかと自己嫌悪に陥る。
そんな..そんな非人道的な行為が許される筈がないだろう。
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ライ - 全然大丈夫です!むしろ八千代さんの書いた星詠みの設定凄く好きなのでその設定にして頂けるとこちらも嬉しいです♪ありがとうございます! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
ライ - ありがとうございます!!こちらこそよろしくお願いします!! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ライさん» ただ基本星詠みの番外編とさせていただいてるので、設定はそちらに寄せさせていただきますのでご了承ください。頑張って書きます! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ライさん» コメントありがとうございます(*´-`)その設定は私としても大好物です笑 是非リクエストに応えさせたいただきたいので宜しくお願いします。 (2020年9月18日 12時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
ライ - いつも更新楽しみにしています!勝手なのですが、炭治郎がヤンデレで夢主が他の男性と仲良くしているのを見て激しく嫉妬するお話を書いて頂けませんか…?良ければお願いします!! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年8月1日 19時