★人の性 〜壱〜 ページ37
※時系列は刀鍛冶の里編後、夢主と両想いになったその夜のお話。炭治郎視点。
ーーーーー
就寝時刻が近く誰かが見廻りに来る可能性がある事を彼女はかなり気にしていたので、名残惜しい気持ちを抱えながらも元の部屋に引き返して来た。
真っ暗な部屋では、俺の事を気遣ってくれたのか既に玄弥は寝息を立てて、壁側に体を向けている。
炭治郎は自分にあてがわれたベッドにそのまま潜り込み横になると、しばらくの間天井を見つめていた。夢見心地な頭はなかなか現実に追いつかず、【先程の出来事】が夢なんじゃないかと思ってしまう。
ーAさんと俺が...両想いー
「ッ〜...」
自覚するように心の中でそう呟き返せば、嬉しさのあまり身悶えする。
信じられない...あぁ、夢みたいだ。でも、紛れもない現実で、確かに彼女の口から好きという言葉を聞いたし、匂いも確認した。
あれほど頑なに炭治郎の想いに応えようとしていなかった彼女が、何のきっかけで心変わりしたのか、或いは自覚したのかまでは、この短時間では聞けなかった。
だがとにかく、彼女の好きが炭治郎と同じ恋慕である事に違いはないのだ。
ーこの瞬間を、ずっと待ち望んでいたー
俺は物心がついてから、Aさんただ一人だけを見てきた。
途中何があろうとも、彼女への想いだけは褪せたことはない。それどころか昨日より...今日より明日と、濃く強く身に刻まれていく想いに戸惑う日々。
こんなに誰かを好きになる事に、ある種の恐怖さえ感じた。一度は待つと言いながら、結局自分が我慢出来ずに泣いて縋ってしまった事もあった。
どうしても、彼女にも自分と同種の想いを抱いて欲しかった。
弟扱いは耐えきれない。家族愛では飽き足らない。
もっと...もっともっと、重く濃い切ない想いを一身に与えてくれなければ、強硬手段に出てしまいそうなくらいにはいよいよ耐えかねていた。
「はぁ...Aさん、Aさんッ..」
膨れ上がる気持ちを分散させようと、体は無意識に彼女の名を呼ぶ。不完全燃焼の心をどうにかこうにか鎮める方法を思案した。
本当はもっと色々な話がしたかったし、口吸いもあんな軽いもので終わらせるつもりなんてなかった。
痕を付けた胸元も、凄く綺麗だったな。いい匂いがした。
もっと...堪能したかった..
本当に、人間とは欲深くあさましい生き物だと思う。
何かが手に入れば、今度はもっと別のものを、或いはその先を欲するようになってしまうのだから
30人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ライ - 全然大丈夫です!むしろ八千代さんの書いた星詠みの設定凄く好きなのでその設定にして頂けるとこちらも嬉しいです♪ありがとうございます! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
ライ - ありがとうございます!!こちらこそよろしくお願いします!! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ライさん» ただ基本星詠みの番外編とさせていただいてるので、設定はそちらに寄せさせていただきますのでご了承ください。頑張って書きます! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ライさん» コメントありがとうございます(*´-`)その設定は私としても大好物です笑 是非リクエストに応えさせたいただきたいので宜しくお願いします。 (2020年9月18日 12時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
ライ - いつも更新楽しみにしています!勝手なのですが、炭治郎がヤンデレで夢主が他の男性と仲良くしているのを見て激しく嫉妬するお話を書いて頂けませんか…?良ければお願いします!! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:八千代 | 作成日時:2020年8月1日 19時