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★陽(ひかり)の中へ 〜壱〜 ページ29

※刀鍛冶の里編後、蝶屋敷療養中のお話。
※アオイの過去若干捏造あり。


ーーーーー


「っい....」


()みますか?すみません。」


「大丈夫、ありがとうアオイちゃん。」



Aさんはにこりと笑ってそう言ったが、痩せ我慢だろうなというのは容易に想像がついた。上弦の肆との戦いで負傷したという彼女の腹部の切創は、内臓まで達していなかったのが幸いしたものの、しのぶの見立てだとかなり深い物らしい。
今も、消毒と塗り薬の処置を施しているが、酷く滲みるらしく、見ていて本当に痛々しい。



ー女性でこんな大怪我負って帰る隊士は、そうそういないわ..ー



それは、Aがかなり無茶な戦い方をせざるを得ない状況であった事に他ならない。
特に最近、炭治郎さん達は下弦や上弦など格上の鬼と対峙する事が多かった為、瀕死の状態で運ばれてきた事もままあった。



【このまま彼等が息絶えて、目の前から居なくなるのではないか...】



そう思う度に、鬼を前にしたあの時と同様手足が震えそうになったが、それでもアオイは懸命に治療に当たった。
彼等が目覚めて、少しずつ日常動作ができるようになり、やがてまた次の任務へと旅立っていく。
正直言えば、行かないでくれと隊服の袖を思い切り掴みたいけれど、それでも彼等はめげずに前を見続ける。


だから、私が彼等にしてやれる事はただ一つ



ーまた彼等が、万全の状態で刀が触れるように身体を癒してやる事ー




「私が作った薬ですので、しのぶ様には遠く及びませんが、効能はお墨付きです。あと数日すれば傷口は塞がると思います。もう暫く辛抱なさってください。」


「え、この薬アオイちゃんが作ったの?へぇ...凄いわ器用なのね」



Aは驚いたようにアオイを見て、凄いと褒め称えた。けれど彼女は、あまり嬉しそうにはせず顔をしかめる。



「いいえ、そんな良く言って貰える代物ではありません。傷口は塞がりますが、その...傷痕は...」



その先を言いづらそうにしているアオイを見て、Aは一瞬きょとんとするが、すぐに目元を緩めこう返した。



「それなら胡蝶様から聞いたわ。痕は残ってしまうだろうって...でもいいのよ。もうそんな事いちいち気にしてないから。私、本当にアオイちゃん達には感謝してるの。命を繋いでくれるお陰で、私は今を生きられるから」



Aは蔓延の笑みでそう語った。彼女は優しいからそう言ってくれる。その言葉にどんなに救われた事だろう...。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎   
作品ジャンル:アニメ
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ライ - 全然大丈夫です!むしろ八千代さんの書いた星詠みの設定凄く好きなのでその設定にして頂けるとこちらも嬉しいです♪ありがとうございます! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
ライ - ありがとうございます!!こちらこそよろしくお願いします!! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ライさん» ただ基本星詠みの番外編とさせていただいてるので、設定はそちらに寄せさせていただきますのでご了承ください。頑張って書きます! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ライさん» コメントありがとうございます(*´-`)その設定は私としても大好物です笑 是非リクエストに応えさせたいただきたいので宜しくお願いします。 (2020年9月18日 12時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
ライ - いつも更新楽しみにしています!勝手なのですが、炭治郎がヤンデレで夢主が他の男性と仲良くしているのを見て激しく嫉妬するお話を書いて頂けませんか…?良ければお願いします!! (2020年9月18日 12時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八千代 | 作成日時:2020年8月1日 19時

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