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額の痛み ページ10

見惚れていられたのも束の間で、突然刺すような痛みがこめかみに走った。
断続的に続くようなそれに、思わず眉根を寄せ押さえつけていると、異変に気付いた善逸は吃驚した様子で慌てて声をかけてきた。


「おい、いきなりどうした?大丈夫かよ」

「大丈夫..少しすれば、治る」


一体どうしたというのか。

A姉さんのあの姿を見た瞬間、突然頭の中が情報過多に陥ったような感覚になった。その癖それが何の記憶か何一つわからない。
そんな矛盾している状況さえも、この痛みに拍車をかけているような気がした。
いよいよ冷や汗が噴き出てきた彼を、見るに見かねた善逸はその場でサッと手をあげる。


「煉獄先生、竈門君が体調悪そうなんですけど」


煉獄先生は彼を一瞥するや否や、事態を察してくれたようで、ただちに医務室に行くよう指示をした。


「大丈夫か?誰か付き添わせた方がいいか?」


ハキハキとした口調で煉獄先生はそう気遣ってくれたが、炭治郎は一人で大丈夫ですと返し、シンと静まり返る廊下を歩き出した。
何とか医務室まで辿り着きガラリと戸を開けると、薬品棚の前に立っていた珠世先生がこちらを振り返る。


「あら、体調不良ですか?」


「すみません..急に歴史の授業中に頭痛が酷くなってしまって。」


あらまぁ大変と口元を手で覆うと、すぐさま炭治郎をあいてるベッドへと誘導した。


「吐き気はないですか?」

「はい、それは大丈夫です。」

「じゃあ少し横になって休みましょうね。次の授業は何ですか?」



冨岡先生の体育だと伝えると、それは厳しいわねと言い、彼には私から休ませると伝えておきますと言ってくれた。
冨岡先生には申し訳ないが、体調不良の状態で駄々をこねても珠世先生は有無を言わさぬ人なので、ここは大人しく言う事を聞く事にした。





...




しばらくしてふと目が覚めた頃には、すっかり痛みは引いていて、あの頭痛は何だったのかと首を傾げる程だった。
教卓に座っている珠世先生に、お陰様で治ったので戻りますと伝えると、彼女は炭治郎を呼び止めてこう話した。



「あんまり無茶はしないでね。炭治郎さんの事だから疲れが溜まっていたんでしょう。あ、そうだわ。先程Aさんが来てましたよ。」


「!..彼女が、何で」


「ちょうど冨岡先生に報告しに行った時たまたまあの子が居合わせたのです。心配そうにしてましたから、後で声をかけてあげてね。」



珠世先生は優しい笑みを向けてそう話した。

邪な感情→←絹糸のように美しく



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設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , 現パロ   
作品ジャンル:アニメ
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八千代(プロフ) - 日月さん» コメントありがとうございます!凄く細かいところまで見て感じてくださってとても嬉しいです(*´-`)これからも二人の応援宜しくお願いします。 (2020年8月30日 18時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
日月 - 八千夜さん!炭治郎君可愛い過ぎます!!!本当に有難う御座います!とっても面白いです。個人的な感想を言うと○○姉さんを独占出来る俺の特権なのだがメチャ好きです!八千夜さんは言葉遣いもとても綺麗ですね!見習います!これからも応援してます!更新頑張って下さい! (2020年8月30日 15時) (レス) id: 3cf6a9796c (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - 詩都花@おしづさん» コメントありがとうございました!こちらこそ、イメージに合う素敵な素材と出会うことが出来てとても嬉しいです!また機会がありましたら利用させていただきますので、宜しくお願いします(*´-`) (2020年5月21日 22時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
詩都花@おしづ(プロフ) - 確認致しました。異常なしです!八千代 |さんの作品はとても素敵なので(私とけた違いw)これからも頑張ってください!応援しています!! (2020年5月21日 21時) (レス) id: 3a39613abc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八千代 | 作成日時:2020年5月20日 22時

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