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《太ちゃんお疲れー！》
家に着いてアクセサリー類を外しながら茜に電話をかけると、呼び出し音が鳴ったか鳴らないかの一瞬で繋がった。
「さっきはごめん。大丈夫？」
《うん、全然平気だよ！》
「今家に居んの？」
《そうだけど？
あっ、彼氏なら出張でいないよ！》
2年前くらいから彼氏と同棲してる茜。
全然プロポーズしてくれないんだけど…って愚痴を何度聞かされたことか。
《そんなことよりもAと何があったのさ》
「…何って？」
あえてしらばっくれてみる。
たぶん、いや、きっと全部知ってる。
だけどそこで俺がベラベラと喋るのも女々しいというか、もしかしたら彼女はそういうのを嫌がるタイプかもしれないし。
《んもう、水くさいなぁ。
2人してなんで何も言ってくれないの？》
「…Aちゃんも？」
《そうだよ！
何もないよ、の一点張りで話してくれないの》
やっぱり。
Aちゃんはそっちのタイプか。
《前まではそれなりに亮くんとも普通に接してたのに、ここ最近はあからさまに避けてる感じするし。
散々言っても関係を切らなかったのに急にどんな心境の変化なのかなぁって…》
「……」
《2人で担当してた取引先があるんだけど、そこの担当から外してほしいって上司に掛け合ったらしいよ。相手の担当者、相当Aのこと気に入ってるから上司も二つ返事では了承しなかったっぽいけど…》
「そうなんだ」
《太ちゃん、本当にAと連絡とってないの？》
「うん、とってない」
連絡とろうとは試みた。
だけど返事がないから。
あの日、最後に食事した時、帰り際のあの顔ー…
きっと彼女なりに最後にしようと決めてたんだと思う。
だから頑なに送ることを拒んだんだ。
あの時、彼女が言ってた。
�狡�まで一緒に居たいと言ったら？�瓩函�
俺が頷いてたら、抱きしめてたら、変わってた？
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作者名：珠美 | 作成日時：2021年9月15日 12時
