始まり ページ4
「うー…」
私、中村菜緒は今日何度目になるかわからない唸り声をあげた。
私の親友の楓が困ったように笑う。
「またテストの結果が悪かったの?」
もう起き上がる気力のない私は、バタンと机にうつ伏せになる。
「いやそれもあるけど…」
「けど?」
私は本日何度目になるかわからないため息までついてしまう。
「もう入学して一ヶ月経ったのに、いまだにミステリー部の部員が集まらないんだよぉ!」
楓はちょっと決まり悪そうにする。
私がミステリー部に誘ったとき、それを断って手芸部に入ったからだ。
楓が罪悪感を感じる必要はないけど、やっぱり部員は欲しいなあ………
するとドアの方から声が聞こえる。
「あら、ミステリー『部』とは愚問ね。」
声の方を見て、私はあからさまに嫌そうな顔になる。
「ゲッ由梨先輩…」
「先輩もダメではないけど、会長をつけなさい、会長を!」
この、サラサラ黒髪ロングの美人は西宮由梨生徒会長。
入学式の時に出会って、そこから色々因縁をつけてくるんだよなあ…
「因縁って都合よく捉えない方がいいわよ。」
えっなんで考えていたことがわかるの!?
「あなたは分かりやすすぎるの。」
また顔から読み取られちゃった……
入学式の出来事を知っている楓は同情しがちに頷く。
「でも、入学式の時にずっと寝てた菜緒も悪いよね…」
私は何も言い返せず、グッと言葉に詰まる。
「とにかく、さっきの部の話に戻るけど…。ミステリー部はあなたがそう言ってるだけでしょ。部員は1人だけで、同好会に必要な人数、2人にさえ足りてないじゃない。正式に人数を集めて生徒会に申請することね。今のままじゃ何もできないわよ。費用も降りないし。部員が4人集まったら正式な部として認めてあげる。」
言うだけ言うと、会長は帰って行った。
頬を膨らませながら楓に愚痴る。
「もう!何しに来たんだろ!」
優しく微笑む楓。
「でも、わざわざ細かいアドバイスまでして行ったよね。
それだけ生徒のことを考えてくれてるんじゃない?」
「楓は優しいなあ……」
その時、近くで話していた女子たちから、ある言葉が聞こえた。
「ねえねえ、道案内の少女って都市伝説、知ってる?」
今思えば、これが私たちの青春ミステリーの始まりだった。
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北条ひかり(プロフ) - 水無月歌乃@絵師さん» 褒めていただき、うれしいです!これからもよろしくお願いします! (2022年8月10日 23時) (レス) id: 690716307d (このIDを非表示/違反報告)
水無月歌乃@絵師(プロフ) - 冒頭から世界観に引き込まれました。とても素敵なお話ですね! (2022年8月10日 23時) (レス) @page2 id: bff6de7ecd (このIDを非表示/違反報告)
北条ひかり(プロフ) - 朱まぐさん» ありがとうございます!こちらも、更新頑張ります! (2022年8月5日 18時) (レス) @page8 id: 98e6601380 (このIDを非表示/違反報告)
朱まぐ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。主人公達のやり取りが面白くて読んでいて楽しかったです!最新話に出てきた狐の正体や少女が言っていた言葉の意味などもとても気になります。無理せず作者さまのペースで頑張ってください! (2022年8月5日 17時) (レス) @page3 id: 36aa4bf6d2 (このIDを非表示/違反報告)
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