敵意よりも…… ページ7
私の喉に突きつけられている剣はどうでも良かった。
それよりも……
「離れたら駄目ですよ。傍に居てあげなきゃ……」
剣が喉に刺さらないように手で避けてから、男の人の後ろに回り、背中を押す。
「……何を…」
「あなたが石柱から離れたら、少し寂しい空気になったので……」
「…どういう……」
「それにあなたも……」
少し躊躇ったけど、言う事にする。
「……少し、寂しそう。」
背中をぐいぐい押して、石柱の方に行かせる。
するとまた、さっきのような穏やかな空気になった。
……よし！
「じゃあ、私はこれで。…あまりそこから離れちゃ駄目ですよー！」
男の人に手を振って、坂道を登り始める。
……手、切れてる。…まぁいっか！
それよりも、あの人にとっては大切な場所っぽいのに、ズカズカ入っちゃって、申し訳ないな……
そう考えると、歩く足取りも重くなる。
私だって、お父さんやお母さんがいる墓地を荒らされるの、嫌だもん。
私ってまさかどころじゃなく最低じゃない？
はぁ……
…………………………
少し鬱モードに入りながら坂を登る。
「待ちたまえ。」
と声が掛かったので、後ろを振り向く。
「さっきの…どういう事だい？」
「…何か、空気が寂しくなったというか…感覚的なものですね！……もしかしたら、石柱がそう思ったんじゃなく、無意識の内にあなたが思った事が寂しい空気の原因かも……」
…寂しいっていうよりは、不安な感じがしっくりくる…
「まぁ、どっちにせよ、思い思われってヤツですね！」
グッジョブサインを送り、再び坂を登る。
無意識なのは、石柱も同じ事なのかな…？
うーん………
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作者名：かび x他1人 | 作成日時：2018年4月1日 8時
