魔族長と少女と (ページ35)

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Aがこの地に来て、結構日が経った。

そろそろお腹の限界も近いだろうと思い、今は木の実を採集している。

この木の実を渡してから、生えている場所も教えねばなと思った。

キノコは食べるなと教えていたから大丈夫だとは思うが、万が一食べていたら、使えない魔力を使っている幻覚を見て、側から見れば、ただの変人だ。

Aは元から変人だから、見分けるのが大変そうだ。

......よし、木の実はこれぐらいでいいだろう。

魔力で浮かせている木の実を見て、フッと笑みが溢れる。

別に世話をしてやる必要などないのに、何故木の実を採ってやっているのか、と。

まぁ、暇つぶしの相手が居なくなるのは惜しい気がするから、という理由なのかもね。

Aの事になると、自分の気持ちが良く分からなくなって少し気分が悪くなる。

「......ーん！」

ふと、Aの声が聞こえた気がした。

少し辺りを探すと、Aがワタシの名前を呼び、探している姿が目に入った。

「全く、騒がしい子だね」

瞬間移動をして、後ろから話しかける。