魔族長と少女と (ページ27)

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リク旅館で…後編ページ27

ギラさんは、体の水滴を魔力で飛ばしてから、食べ物の所に歩いていった。

「うーん……匂いはいいですけど、食べられますかね……？」

「ふむ…」

パクッ、

ギラさんは少し考える素振りをしてから、手に持っている赤いものを食べた。

「うん、多分大丈夫だよ。」

といって、私の口元にギラさんが食べた残りのなにかを持ってくる。

「いただきまーす！」

ギラさんの手まで食べないように気を付けて、食べてみる。

シャクッ

「……美味しい…！！」

今まで食べたどんなものよりも、このよくわからないものは美味しかった。

しかも果物みたいに甘いし、クセのついた皮の味もなかなか美味しい！

「大丈夫な味なら、Aが食べるといい。」

「ギラさんは食べないんですか？」

「ワタシは…食べられない事はないけど、食べる必要もないからね。」

？魔族だから…とかそういう理由かな？

その後も、色んな食べ物を食べ尽くしていると、パッと目の前が見慣れたものになった。

「もう１日過ぎたんですねー。」

「そのようだね。」

初めて１日中寝ない日を過ごしたかも！

でも、そのせいか頭が少しポワポワする。

……まだ明るいけど、寝てもいっか！

寝る場所を探そうとする前に、後ろにいるギラさんを振り向き、

「また、面白い所、連れて行って下さいね！」

と笑顔で言う。

ギラさんも笑顔で、

「ああ、今度はもっと面白い場所を考えておくよ。……テクノボコブリンがいっぱいいる所、とかね。」

え？あの私が唯一苦手なデクボコボコの所？

「ギラさん…それは私がちょっと……」

「今度は１日と言わず一週間と行こうか。」

「えぇ!?」

まさかだけど、ギラさんまだあの温かい水の事を引きずってるんじゃ……

「いやぁ…楽しみだよ。君のその顔が引きつるのを思い浮かべると。」

目が…笑ってない……！！

「これはきっと悪夢だ！一回寝てリセットしなきゃ！」

起きた時にはギラさんのほとぼりも冷めていますようにと願い、私は必死で眠りについた。