【名前変換オリジナル】いろんなタイプの恋人とII

雨 ページ26

今日はあまりいいことがなかった。
先輩に怒られて、忘れ物して、
通り雨で、傘がなくて。
何だかセンチメンタルな気分で、涙が出てくる。

そうだ。

雨に打たれながら、泣きながら帰ろう。
泣いてることは、雨で誤魔化してバレないように。

下を向いて歩いていると、
涙も、雨も、地面に落ちるただの水だった。


A「……あ」

突然雨が止んだ。
いや、雨が止んだ訳では無い。
私の周りだけ、雨が止んだ。

洋「なにしてるの」

そこには、傘を差し出して訝しげに私を見つめている人がいた。

A「なにもしてないわ」

私は、笑う。
彼は、私の頬に手を伸ばした。

洋「なんで、泣いてるの」

そう言って私の頬を伝う水を指で拭う。

A「雨じゃない？」

雨も涙も水だから。

洋「……そっか。雨か」

A「そう、雨」

そう相槌をうてば、彼は私に差し出していた傘を捨てて、
私を抱きしめた。

A「ちょっと、傘、落としたら、君が雨に濡れちゃう……」

洋「ごめん、抱きしめないでいられなかった」

彼の体温は、私の冷たい身体を温める。

A「ねぇ、どうしたの」

洋「どうしたの、はこっちの台詞」

A「私はどうもしてないわ」

彼は抱きしめる手を弱めなかった。
時間が止まったような気がした。

雨はやまない。

ー雨ー

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