重い蓋〜Kawanishi ページ27
「あれ、、」
見覚えのある愛おしい背中
その隣に細身の女性
腕を絡ませ、夜のネオン街へと消えていく
「はあ、、。」
見間違えるはずもないその姿
隣にいた女の人は誰？
どんな関係？
私の中に渦巻く嫉妬
嫉妬する権利なんて、これっぽちもないのに。
モヤモヤした気持ちごと洗い流せればいいのに
いつもより熱いシャワーを浴びても
お気に入りのバスソルトを使っても
頭にこびりついて離れないあの光景
きっとあの人も同じ
私と同じただのおもちゃ
必要な時に求められて
気持ちを抱いたら捨てられる
何人もの人が
残酷に切り捨てられてくる光景を見てきた
分かり切っていることなのに
私にだって
嫉妬する権利くらい欲しい
Prrrr…
突然なりだした電話
ディスプレイに表示される
愛おしい名前
いやでも鼓動が早まるのを感じた
「もしもし。」
賢「開けて。」
「え？」
賢「はよ開けて、寒い。」
その言葉と共に
トントンというドアをノックする音
ゆっくりと扉を開けば
賢「遅いねん。」
少し冷えた体と
その唇に包み込まれる
「んっ、、賢志郎さん、、待って、、」
賢「もう散々待ったわ。」
「だめ、お風呂、、」
賢「風呂？入ったやろ、髪濡れとるし。」
「私じゃなくて、、」
あの女の人の香水の香りを
洗い流してほしい
なんて言葉は
私の身体と一緒に
ベットに沈み込んだ
「あっ、、賢志郎さんっ、、」
賢「っ、、締めすぎやって、、」
さっきの嫉妬はどこへやら
貴方の腕の中で
溺れている私がいる
賢「愛してるで。」
貴方の口から吐き出された
空っぽの言葉
ずっと求めている言葉なのに
聞くたびに虚しさに包まれる
賢「やっぱAとの相性は最高やな。
今日の女イマイチやったからな、、」
重たくなった身体
床に散らばる服を拾い集める後ろ姿を
ぼんやりと眺めながら横になる
賢「これだから手放したくないねん。」
貴方が愛してくれたのは私じゃない
私の身体
どんなに欲しくても手に入らない
貴方の心
「ねえ、、」
賢「ん？」
「私、、」
その言葉を遮るように重なった唇
賢「手放したくないねん。やから言わんとってや。」
「、、、うん。」
賢「ん、ええ子や。」
こうやって貴方は
私の想いに
重い重い蓋をする
賢「じゃ、また連絡する。」
少し遠くでドアの閉まる音
締め付けられた胸
この部屋に残されたのは
行き場のない想いと
貴方の香り
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なち(プロフ) - あくりるうぉーたーさん» あくりるうぉーたー様。ありがとうございます！感想とても嬉しいです！いつもご覧頂き誠に有難う御座います。感想とても励みになります！これからもよろしくお願い致します！ (2020年9月9日 9時) (
レス) id: 53910307d8 (このIDを非表示/違反報告)
あくりるうぉーたー(プロフ) - 突然失礼します、、！いつもいつもにやにやしながら()見させてもらってるんですが、今回のお話がツボすぎて思わず、、笑もう、最高でした、、薬漬けにされちゃうのめちゃくちゃ好きですいつも見てますこれからも楽しみにしてます！ (2020年9月9日 1時) (レス) id: 3d02122e62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なち | 作成日時：2020年8月31日 18時
