林檎〜Ishibashi ページ18
石「はい。」
目の前に差し出された
真っ赤な果実
灯に照らされ
光沢を帯びた
林檎
その林檎に添えられた
遼大の笑み
石「召し上がれ。」
林檎から溢れ出るのは
果汁、、、、
ではない。
その笑みの向こう
机に乱雑に転がる注射器
艶やかで水々しい
毒林檎
石「美味しいと思うんだけどな。」
頭によぎる2つの物語
禁断の果実を口にし
追放されたアダムとエバ
魔女に差し出された毒林檎を口にし
王子のキスによって目覚めた白雪姫
石「ね、美味しそうでしょ？」
蠱惑で誘惑魅力的な笑み
きっと私は白雪姫にはなれない
この禁断の果実を作り出した貴方はエバで
分け与えられた私はアダム？
「うん、すごく美味しそう。」
林檎を受け取ると
ズッシリと感じる重み
林檎が小刻みに揺れているのは
私の手が震えているからだ
石「でしょ？」
深く深く注がれる愛
貴方の愛は歪で
狂っている
私の身体に刻まれた傷痕が
そう示している
重なり合った視線は
絡みついて解けない
見つめて見つめられ
愛して愛されて
その先に何がある
逃げ出そうとした過去は
遠い遠い昔になった
気づいた頃にはこの愛に溺れ
狂っていた
林檎を握る私の手に
重なる貴方の手
2人の目の前にある
禁断の果実
石「一緒に食べよう？」
吸い寄せられるように近づき
一口かじれば
口に広がる蜜の味
痺れるような快感
ｺﾞﾄｯ
音を立てて転がった林檎
ぼやけてきた視界
引き寄せられた身体
重なる2人の唇
そのキスさえも
私の身体をビリビリと痺らせる
石「俺だけのお姫様。」
最後に聞こえた貴方の言葉
林檎よりも甘い言葉に
自分の口角が上がるのを感じた
ああ、私は
白雪姫になれたのかな
いや、白雪姫なんかより
素敵なお姫様になれたよね
愛する王子と共に
永遠の眠りにつけるのだから
作品〜Ishibashi ※閲覧注意→←脳と身体〜Ishibashi
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なち(プロフ) - あくりるうぉーたーさん» あくりるうぉーたー様。ありがとうございます！感想とても嬉しいです！いつもご覧頂き誠に有難う御座います。感想とても励みになります！これからもよろしくお願い致します！ (2020年9月9日 9時) (
レス) id: 53910307d8 (このIDを非表示/違反報告)
あくりるうぉーたー(プロフ) - 突然失礼します、、！いつもいつもにやにやしながら()見させてもらってるんですが、今回のお話がツボすぎて思わず、、笑もう、最高でした、、薬漬けにされちゃうのめちゃくちゃ好きですいつも見てますこれからも楽しみにしてます！ (2020年9月9日 1時) (レス) id: 3d02122e62 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なち | 作成日時：2020年8月31日 18時
