四季〜Ishibashi ページ15
石橋side
賑やかな駅前
溢れる人
誰もが誰かを待って
「お待たせ！」
石「んっ、いこうか。」
去年より落ち着いた色の浴衣
軽くまとめられた髪
"可愛い"その一言が
今年も言えないまま
「チョコバナナとりんご飴と焼きそばとわたあめと、、たこ焼きも捨てがたい。」
石「相変わらずだな(笑)」
"やっぱりじゃがバターも！"
気がつけば両手いっぱいの食べ物
手が握れないじゃないか
なんて気持ちは
嬉しそうな笑顔を見れば何処かへ行った
「でも一番はこれ！かき氷！」
石「ブルーハワイ好きだね。」
「ブルーハワイ最高。」
石「ところでブルーハワイって何。」
「しらん。」
毎年繰り返されるこの会話
結局ブルーハワイってなんだろう
食べ終わった後に真っ青になった舌を
ベーっと見せる姿も
少しずつ大人びてきたような
「ほら、花火始まる！！」
前言撤回
子供のように無邪気な姿は
大人とは程遠い
はずなのに
年を重ねるにつれて
嫌でも人は成長するもので
いや、この年まで来たらもう成長とは言わないのかな
大人になっていく君
打ち上げられた花火
君の瞳にキラキラとしたものが写る
花火に照らされる顔
あまりの美しさに息を飲む
「ちょっと、、何よ。」
どうやら見過ぎたようで
俺の視線に耐えかねた君が
少し頬を赤くさせた
石「夏がきたなって、、、」
「でたそれ、去年も言ってたよ？」
そういえば10月になると
焼き芋を食べたり
銀杏並木を並んで歩いたり
ナンセンスな仮装でお菓子をねだってくる君に
秋を感じて
12月になると
なかなか布団から出てこなかったり
寒さで花を真っ赤にしたり
いつもよりくっついてくる君に
冬を感じて
4月になると
くしゃみを繰り返したり
お花見をしたり
くだらない嘘で脅かしてくる君に
春を感じて
俺の１年は
君を通じて四季を感じていると言うことに
今になって気づく
石「日本に生まれてよかった。」
「んー？なにー？？」
石「なんでもない。」
色々な季節の君を見れるからなんて
恥ずかしい台詞をかき消した花火に
少し感謝した
石「帰ろっか。」
「うん！綺麗だったねー！」
石「来年も来ような。」
また来年の夏も
ブルーハワイは何かってくだらない話をしよう
これからもいろんな君を見て
日本の四季を感じたい
たくさんの季節を2人で
何度も重ねていこう
でも来年の夏こそは
浴衣姿の君に
"可愛い"じゃなくて"綺麗"だと言えるように
そう思いながら
行きとは違って空っぽになった左手で
君の右手をギュッと握りしめた
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なち(プロフ) - 加賀*玲望魅(トミー)さん» 加賀*玲望魅(トミー)様、有難いお言葉に感謝申し上げます。ぜひこれからもよろしくお願い致します！ (2021年1月8日 0時) (
レス) id: 53910307d8 (このIDを非表示/違反報告)
加賀*玲望魅(トミー)(プロフ) - 完結お疲れ様です。私より何千倍も凄い小説を書いていただきありがとうございます。これからも応援してます。 (2020年12月31日 0時) (レス) id: 8e7a3d2703 (このIDを非表示/違反報告)
なち(プロフ) - かおるさん» かおるさん、とても嬉しいコメントありがとうございます！このシリーズは完結してしまったのですが、他の作品も書いているので、ぜひお時間があればお読みいただけると嬉しいです！ (2020年12月16日 0時) (レス) id: 53910307d8 (このIDを非表示/違反報告)
かおる - 小説家になれるレベルに話の構成上手すぎて、、、、！！！！素敵です！愛読させていただいてます！！！ (2020年12月15日 23時) (レス) id: 051f8c256f (このIDを非表示/違反報告)
なち(プロフ) - 薄氷さん» 薄氷さん、またまた有難いお言葉嬉しい限りです！この作品を書いてきてよかったと、お言葉をいただいてすごく感じました！長くにわたりお読み頂きありがとうございました！ (2020年10月15日 21時) (レス) id: 53910307d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なち | 作成日時：2020年8月4日 15時
