煙草〜Kawanishi ページ14
賢志郎side
賢「久々やな、、、」
3か月ぶりにきた君のアパート
最後に来たのは
別れを告げたあの日
ついカッとなって別れるなんて吐き捨てるよう言ってしまったけど
あれから後悔しかしていない
賢「あ、、、やめとくか。」
気持ちを落ち着かせようと咥えた煙草を
箱の中にしまった
君は煙草が嫌いだったから
ピンポーン
「はーい。」
パタパタという足音が聞こえて
扉が開いた
賢「誰かちゃんと確認してから開けなあかんで。」
「わかってるってば。」
ああ、こんなこと言うつもりなかったのに
久しぶりに見た君
あの日より伸びた髪の毛を一つに結んで
見える首元に思わず目が行った
賢「お邪魔します。」
久々に入った部屋から
ほのかに煙草の香り
(部屋に匂いつくからやめて)
そういって怒っていた君を思い出す
「これ、使って。」
賢「おん、ありがと。」
手渡された紙袋に自分の荷物を詰めていく
洋服、髭剃り、歯ブラシ、充電コード、カバン
あの日から何も変わっていないこの部屋
賢「有り難う、多分これで全部。」
大きな2つの紙袋はパンパンで
この部屋は少し
寂しくなった気がする
「うん。ありがとね。わざわざ来てくれて。」
もうこの部屋に来ることはないのだろう
最後にぐるっと見渡すと
賢「あ、これもか。」
空きかけの煙草がテーブルの上に一つ
もう3か月もたって湿気てるであろう煙草を手に取り紙袋に放り投げる
「あ、、それ、、」
賢「ん？」
「いや、なんでもない。」
賢「それじゃ、、他に俺のもの出てきたら捨てて構わんから。」
「うん。じゃあね。」
扉の閉まると同時に出たため息は
バタンという重たい音にかき消された
賢「重っ、、、」
部屋に響くドサッという音
紙袋の中身は
君の部屋の香りと
俺の煙草の香り
賢「吸いかけの煙草まで取っといてくれたんか、、、」
全部荷物は捨てていいと言ったのに
(捨てられないから取りに来て。)
返ってきた返事
吸いかけの煙草まで取っておいてくれるなんて
賢「あれ、、、」
吸ってみようと箱を開けると
中から出てきた女物のライター
賢「A、、、」
あの部屋からした煙草の香りは
俺のやなくて
君のもの
なあ、嫌いだといった煙草
俺と同じ銘柄を吸うなんて
俺への未練だと思ってもええか？
女物のライターを手に取り
咥えた煙草に火をつけた
部屋に充満するのは
俺の煙草の香りでなく
君の煙草の香り。
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なち(プロフ) - 加賀*玲望魅(トミー)さん» 加賀*玲望魅(トミー)様、有難いお言葉に感謝申し上げます。ぜひこれからもよろしくお願い致します！ (2021年1月8日 0時) (
レス) id: 53910307d8 (このIDを非表示/違反報告)
加賀*玲望魅(トミー)(プロフ) - 完結お疲れ様です。私より何千倍も凄い小説を書いていただきありがとうございます。これからも応援してます。 (2020年12月31日 0時) (レス) id: 8e7a3d2703 (このIDを非表示/違反報告)
なち(プロフ) - かおるさん» かおるさん、とても嬉しいコメントありがとうございます！このシリーズは完結してしまったのですが、他の作品も書いているので、ぜひお時間があればお読みいただけると嬉しいです！ (2020年12月16日 0時) (レス) id: 53910307d8 (このIDを非表示/違反報告)
かおる - 小説家になれるレベルに話の構成上手すぎて、、、、！！！！素敵です！愛読させていただいてます！！！ (2020年12月15日 23時) (レス) id: 051f8c256f (このIDを非表示/違反報告)
なち(プロフ) - 薄氷さん» 薄氷さん、またまた有難いお言葉嬉しい限りです！この作品を書いてきてよかったと、お言葉をいただいてすごく感じました！長くにわたりお読み頂きありがとうございました！ (2020年10月15日 21時) (レス) id: 53910307d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なち | 作成日時：2020年8月4日 15時
