Chocolate Sling -3-

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『……混んでるな、』




「…だね。」




高速に乗ってから1時間近く経つ。




予定通りにいくと、もうとっくに高速を降りて下道をひたすら進んでいってるはずだった。




『…あ、事故だって。』




「え？」




『ほら、見てみ？』




SNSを開いたままスマホの画面を見せると、分かりやすく表情を曇らせた萩野。




便利な世の中だよな。




高速の名前に加え "渋滞"というワードを入れて検索するだけで、リアルタイムで誰かしらが呟いてるのが確認出来たりするわけで･･･




車線変更の際に接触事故を起こして、さらに後ろから走ってきた車が衝突寸前だったとか。




高速での事故は怖ぇな、とゾッとする。




「…違うルートにすればよかった、」




『まぁ、仕方ねぇだろ。』




怪我人はいないらしく 他人事とはいえホッとしたけど、それならそれでなんでこのタイミングで事故ってんだよ、って苛立ちを覚える。




「遅れるって連絡しないと…」




『おう、俺からしとくわ。』




なかなか進まない渋滞の列は、窓から顔を出して見ても遠くまで続いている。




片側の車線が通行止めになってんのか･･･




.




足止めを食らった30分間、萩野とたわいもない会話をしていたらあっという間だった。




･･･意外と早かったな。




『…すげぇ腹減ったんだけど、』




「ふふ、朝何食べてきたの？」




『コーヒー飲んだだけ。』




「えっ、抜いてきたの？！」




『違ぇよ (笑) 朝はコーヒーだけなんだよ。』




「えー…健康に悪いよ？」




運転中は当然、萩野は俺の方を見ない。




さっきまではチラチラ目が合ったりして、距離が近いこともあって なんとなく照れ臭かった。




『…食う時間ねぇんだよ、朝は。』




「じゃあ早く起きたらいいじゃん。」




『無理。』




「なんでよ (笑)」




『俺夜行性だから、朝は苦手。』




「生活習慣なんてすぐ変えられるよ？」




『…例えばどうやって？』




「んー…誰かに起こしてもらうとか？」




『……俺一人暮らしなんだけど、』




「ふふ、モーニングコールしてもらえば？大倉くんとか、菊池くんとかにさ…」




『…男の声で目覚めろと？』




考えただけで萎えるわー･･･




「じゃあ女の子に頼みなよ。」




『…は？』




「んー…佐野さんとか、浅田さんとか？ふふ、北山くんに頼まれたらきっと喜ぶと思うよ？」




『……。』




･･･なんだよそれ。

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