Chocolate Sling -3-

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「美味しかったよ？自炊全くしないって言ってたけど、ホントはしてるんでしょ。」




『してねぇって (笑) 調べながら作ったし たまたま上手くいっただけだから。』




「…たまたまなの？」




『おう。』




「……ふーん、」




『…何？また食べたかったとか？(笑)』




冗談でそう言ったのに、まるで図星を突かれたかのように俺から目を逸らす萩野。




･･･真っ赤になってるし。




そうゆう素振りを見せられると、もしかして･･･って期待しちゃうんですけど。




『……。』




「……。」




それにしても･･･




どう切り出せばいいんだ？




告白なんていざとなったらすぐ出来る、と思っていたけど どうやら違ったらしい。




あぁー･･･すっげぇ喉が乾く。




緊張から来てるんだろうな、これは。




コンビニで買った水がカバンの中にあるけど、直前に水分補給とかダサすぎる。




「…じゃあ、そろそろ行くね？」




沈黙に痺れを切らしたのか、タクシーを待たせているからなのか、少し遠慮がちにそう言われて 完全にタイミングを失った。




『…あぁ、』




「……。」




『……。』




俺に背を向けて歩き出す萩野に、やっぱり別の日に出直そうか･･･と一瞬だけ思った。




思ったけど、やめた。




･････今じゃないとダメだ。




今言わないとダメなんだ。




そう、自らを奮い立たせる。




『……っ、萩野！』




数メートル先にいた萩野が、はたと足を止めて、戸惑ったようにこちらを振り返った。




「…何？」




目を丸くして驚いた様子の萩野。




驚くのも無理はない。




今し方別れを告げたばかりなのに、いきなり名前を呼ばれて、振り向いた先には 何故か緊張した面持ちの俺がいるんだから。




何事かと不思議に思うだろう。




身体中に心臓の音が響くせいで、喉が震えて、上手く声が出るかどうか 心配になる。




気付かれないよう、小さく息を吐いた。




『……今から大事なこと言うけど、いい？』




「…大事なこと？」




『うん。』




「……。」




戸惑ったように顔を強張らせた萩野だったけど、すぐに聞き入る体勢に入ってくれた。




やっぱり無理、と心のどこかで弱音が見え隠れするけど･･･そんなのは無視だ、無視。




地面に落としていた視線を、再び上げる。




視線が絡み合うこと数秒･･･




ようやく俺は、口を開いた。

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