Chocolate Sling -3-

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「ちょ…そんなに呑んで、俺知りませんよ？潰れても送ってあげませんからね？」




ろくに胃を満たさないでアルコールを浴びるように喉に流し込む俺を、そう言いながらも心配そうに見つめてくる二階堂。




『…うっせぇな、潰れねぇよ。』




今日は多分、酔えないだろう。




なんとなくそう思った。




「……萩野さんっすか？」




『……。』




「先輩、仲良かったもんね。」




『…タメ口かよ、』




「だってここ、会社じゃないし？」




相変わらず生意気な奴だ。




酔ってきたらタメ口どころか、5つも歳上の俺を "ミツ" 呼びしてくるし･･･




「…ここだけの話なんだけどさ、」




『……。』




「萩野さん、寿退社らしいよ。」




『っ、は…？』




「萩野さんと飯島さんって仲良かったじゃん？それで俺、飯島さんから聞いたの。萩野さん、去年の今頃 彼氏にプロポーズされたってめっちゃ嬉しそうに話してたんだって！」




『……プロポーズ、』




「そう！なんでか会社の人には内緒にしてたみたいだけど……って、聞いてる？」




『……。』




去年の今頃にプロポーズしたのって ･･･




どう考えても俺じゃん。




嬉しそうに話してた？




何かの間違いじゃねぇの？




だってAは･･･




「それにしてもさー…驚いたわ。」




テーブルに頬杖をついて、なんとも言えない表情で俺を見上げてくる。




『…何が？』





「俺、萩野さんの彼氏って実はミツ先輩なんじゃないかって思ってたんだよね。」




『…は？』




「だってさ、2人すごい仲良かったじゃん？同期入社で、歳の差なんて関係なくお互いを高め合ってて……お似合いだったし、」




『……。』




「うちの会社、社内恋愛禁止じゃん？だから内緒で付き合ってんのかなって…」




『……お前、仕事中にそんな不真面目なことばっか考えてたわけ？』




話を逸らしたくて茶化したつもりだったけど、上手く逸らせなかったらしく･･･




「俺……萩野さんはミツ先輩のことを好きなんだろうなって、ずっと思ってた。」




『……二階堂、』




「俺は絶対ミツ先輩には敵わないから、せめて2人のことを応援しようって…」




『……。』




「…連絡とか、来てないの？」




『……来てねぇよ、何も。』




「そっか………なんか寂しいね、」




ポツリとそう呟いた二階堂に、俺は曖昧な返事で誤魔化すしかなかった。

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