Chocolate Sling -3-

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『……7度3分か、だいぶ下がったな…』




「うん、北山くんのおかげ…」




羽毛布団に顔を半分埋めながら、どこか申し訳なさそうに眉を下げている。




『…別に大したことしてねぇけど、』




「ううん。薬とかゼリーとか色々買ってきてくれたし……お粥もね、すごく美味しかった。洗い物までしてくれてありがとね。」




食べ終わってから洗い物を済ませて振り向くと、クッションで顔を隠していた萩野。




どうしたのかと聞けば、「よく考えたら私ずっとスッピンだった…」と今更なことを言うから、思わず吹き出してしまった。




スッピンでも充分可愛いよ？




なんて心の声が、喉まで出かかった。




『おう、今度飯奢ってよ。』




「ふふ……焼肉？」




『お高い方な？』




「えっ？！それはちょっと…」




『ふっ、冗談だよバーカ (笑)』




「……今日はごめんね、」




『……。』




「その……私から誘ったのに、当日にドタキャンしちゃうなんて有り得ないよね…」




『…萩野、』




「……。」




『体調が悪くなったのは萩野のせいじゃねぇよ。だからもう 謝らなくていいから。』




「っ、……北山くん？」




『ん？』




「何、この手…」




『……安心させてやろうと思って、』




気付いたら、萩野の頭を撫でていた。




弱ってる萩野を見ると、これまでに感じたことのなかった気持ちが芽生える。




もしもこの先、萩野がこんな風に寝込んだり、はたまた落ち込んでいたりする時は･･･




誰よりも近くで俺が支えてあげたい。




萩野が無条件で頼れて、甘えられるような、心の拠り所になりたいと思う。




「……寝ちゃいそう、」




『…ふふ、猫かよ。』




「猫は北山くんでしょ？」




『は？俺のどこが？』




「んー…なんとなく、猫っぽい。」




『……。』




「それに、猫っ毛でしょ？」




『…触ったことあんのかよ、』




「……ないけど、」




萩野の視線が俺の頭に向いた。




『………触る？』




「え…？」




『……なんて、…っ、？！』




「…柔らかいね、」




まさかこの歳になって誰かに頭を撫でられるなんて、思いもしなかった。




触るかと聞いたのは自分だ。




だけどそれは冗談のつもりで･･･




･････言ってみるもんだな。




俺の頭を撫でる萩野の手付きあまりにも気持ちよくて、自然と瞼が閉じていく。




なんだよ、これ。




すっげぇ幸せじゃん･･･

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