Chocolate Sling -3-

＊花火と未練 -3-＊【前編】 ページ1

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目覚めた瞬間、腕の中に君がいること。




向かい合って ご飯を食べる朝。




並んで歩く 駅までの道。




君からのメールに気付き、頰が緩んでしまうのを後輩に揶揄われる休憩時間。




残業がやっと終わった時の喜び。




どんなに疲れていても、君が待っていると思うと自然と足取りは軽くなる。




付き合い始めた頃 君は料理が苦手だったのに、俺の為に沢山練習してくれて･･･




片付けが苦手だった俺は、君にコツを教えてもらってからは割と得意になった。




寝る前には、明日の晩ご飯は何がいい？なんてやり取りをしながら君を抱き締める。




･････幸せだったんだ、すごく。




すごくすごく幸せだった。




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「……い、おい！北山！！」




『っ、』




「お前、最近変だって…」




『……。』




「心ここにあらずって感じ。しっかりしろよ、そんなんじゃ契約取れねぇぞ？」




『…あぁ、悪い。』




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同僚の言う通りだ。




仕事も、身の回りのことも、全部。




何もかもがおざなりになっている。




要するに、何もする気が起きない。




･････社会人失格だな、俺。




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長い長い勤務時間が終わると、胃がギュウッと絞られるような痛みが襲う。




「あっ、北山！明日の会議で使う資料ってもうコピー取って……ちょ、おい？！」




『っ、…あぁ、20部だろ？』




「お前……顔色ヤバいよ、」




『…大丈夫、もう帰るし。』




「……無理すんなよ？」




『…あぁ、』




痛いほどに突き刺さる視線をいくつも浴びながら、重い足取りで会社を後にした。




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電車に揺られること15分。




最寄り駅前のコンビニに入ると、いつもの兄ちゃんが俺を見て軽く会釈する。




気怠げに「いらっしゃいませ」と言われ、好きで来てんじゃねぇよ、と心の中で悪態をついてしまうようになった今日この頃･･･




適当に選んだカップ麺とおにぎりをカゴに入れ、レジに行く前に足を留める。




"コンビニってズルくない？レジ前にこんなの置かれたら 買っちゃうじゃん…"




"ふはっ、そうゆう商法なんじゃねぇの？まぁ引っかかんのはAだけだろうな "




"えー…ここに置いてあるのがおつまみとかだったら、ひろだって買うと思うけど？"




"そりゃあ買うだろ "




"ふふ、即答 (笑)"




『……。』




馬鹿みてぇだな、と思う。




甘いものは好きじゃない。




･････好きじゃない、のに。

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