Chocolate Sling -2-

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「玉森くん、返事は？」




「……。」




「…玉森くん？」




ねぇAさん･･･




元彼が忘れられないってホント？




さっきの画面が、頭から離れない。




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つい、見てしまったんだ。




見るだけなら大丈夫だろう、と。




《Aもいい加減次の恋見つけるべきだよ？そんなに未練があるなら ちゃんと宏くんと話し合えばよかったじゃん。》




「……宏、くん…？」




知らない名前だ･･･




ドクン、と心臓が嫌な音を立てた。




Aさんとはお互いなんでも話し合える仲になったし、色々相談し合ったりもしてる。




だけど、恋愛の話になると 毎回はぐらかしているように思えた。




もしかして恋愛に興味ないのかな、とか、嫌な過去でもあったのかな、とか･･･




Aさんが嫌ならやめておこう、と極力話題に出さないようにしていた。




やっぱり、一線を引かれていたんだ。




"次"なんて考えられないから･･･




元彼が忘れられないから･･･




"私、口説かれてる？"




"ふふ、じゃあ親友2号かな…"




･･･俺の気持ちには応えられないから。




そう考えると、悲しい気持ちと同時によく分からない感情が沸々と芽生えた。




それがなんなのか･･･




Aさんの顔を見た瞬間 分かった。




嫉妬と、苛立ち。




今もAさんの心を占めているそいつと、いつも俺に優しくしてくれるAさんに。




どうしようもないし、俺なんて所詮、ただのバイト仲間でしかないのに･･･




それが惨めで、だけど悔しくて。




「あのさ…どうゆうつもりか知らないけど、仕事に私情を持ち込むのはやめてくれないかな？」




Aさんもこんな俺に呆れてる。




嫌だ･･･せめて嫌われないようにしたい。




そう思うのに、声が出ない。




「ねぇ、返事くらいしたら…」




目頭が熱くなり、視界がどんどん滲んでいくのが分かった。




ゆっくりと振り向くと、俺の顔を見た瞬間 Aさんの目が大きく見開かれた。




「え…っ、玉森くん？！」




あーあ･･･バレちゃった。




仕事に私情を持ち込むなんて、俺が1番面倒だって嫌ってたことじゃん。




はー･･･かっこわる。




困らせるって分かってたのに･･･




こんなことなら、初めから好きになんてならなきゃよかったんだ。




そう思うのに、掴まれた腕に嫌でも鼓動は高鳴ってしまう。




･･･こんなにも好きなのに。

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