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「・・・へえ、」
「こんなもんですよ。たいして面白くもなかったでしょう」
「いや?いいなーと思うよ。そんなに同じ時間を過ごせて」
「・・・また図書室、遊びに来てあげてください。きっと喜びますよ」
現に、森本先輩たちが図書室に顔を見せた時、ものすごくうれしそうな顔をしていた。
というか、ほっとしていた、のほうが正しいのかもしれない。
避けられていた自分に寄り添ってくれた存在。
そんな人がいるという安心感は、きっと何物にも代えがたい感情だと思う。
私にとって、そんな人はいるのかな。
「・・・そうだね、そうしようかな。また行くよ。いつ図書室にいるの?」
「第二月曜と、第四月曜です」
「・・・うわ、忘れそう」
「大丈夫です、私も時々忘れます」
「え、それまずくない?」
「まずいです」
それじゃあ、また。
そう言って森本先輩は私に背を向けて去っていった。
次の約束は取り付けないまま。
きっと、樹先輩の話がたくさんできたから満足だったんだと思う。
樹先輩って、どういう人なんだろう。
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作者名:nanaco | 作成日時:2023年12月8日 15時